民法には原理や原則にかかわる条文があります。その解釈については多数の学説が含まれていて、解説書を読むたびに混乱させられます。
民法総則には第1条の基本原則、第2条の解釈の原理、第90条の公序良俗がありますが、物権や債権にも多数の保護規定があります。
そういうものを総体として説明するのが学説ですが「
私的自治の原則」といわれる近代民法の基本理念にしても3つと4つの区分があり、明文化されていません。
この違いは人格平等の原則を含めるか否かの違いです。近代社会と現代社会を区分し、ブルジョア民主主義と現代民主主義を区分するからでしょうか。
わたしは人格平等の原則は当然の前提と考えていますので外す理由がわかりません。
私的自治の原則といわれる原則
(1)人格平等の原則 すべての人間は年齢・性別・身分などに制約されない
(2)所有権絶対の原則 個人の所有権は絶対的なものとして法の保護を受ける
(3)契約自由の原則 個人間の契約は互いの自由意思のもとに行う
(4)過失責任の原則 自由な活動で生じた責任は故意または過失に限り責任を負う
ともあれ、書かれていないことを持ち出して論じる気はありません。
書かれている内容から民法を理解するために権利にかかわる原理や原則といわれるものを整理しました。
次のような内容の条文解説を整理したものですが、どうやっても条文から読み取れない考えもあります。
その謎解きはあなたにおまかせします。
1公共の福祉
2信義誠実の原則
3権利濫用の法理
4民法解釈の基準
5公序良俗
6物権の保護規定
7債権の保護規定
以下は、菅野耕毅著『事例民法入門 第2版』(法学書院)を参考にしました。