50 「あの唄はもう唄わないのですか」を弾く
ギターに挑戦
雨が降っている朝はうっとうしい。
夜更しをして寝ている家族を無視してギターを弾いた。
唄わずに演奏するだけなら家族は文句を言わない。
そこで最近弾き続けている『あの唄はもう唄わないのですか』をかき鳴らすと全員が飛び起きた。
本当は、「あの唄も一度聞きたくて/私のために作ってくれた/今も信じてる/あの唄を・・・♪」と
去った人を懐かしむ唄なのだが思わず力をこめてしまうのも恥ずかしい。
感情移入が多すぎるのだろうか。
ついでに『男は明日はくためだけの靴を磨く』、
かまやつひろしの『我が良き友よ』や岡林信康の『友よ』を続ければ
家族は呆れるだけである。
あれやこれや20曲弾きまわると疲れてきてまた眠ると、
「まったく人騒がせなんだからと」妻がぐちをならべている。
演奏に自信がついたが声がでないのも口惜しい。声音(こわね)を変えてあれこれ説教を並べ、家族に「それだけ声を使い分けられるに歌い声がどうしてでないの」と皮肉られるのも歯がゆい。
高いキーの唄を歌うためにはボイストレーニングが必要だが、今さらそんなことを始めるつもりはない。こんなわたしでも小学生のころは合唱コンクールのメンバーだった。練習にかり出されて楽器の演奏が身につかなかったのが口惜しい。「演奏をしても良いから歌わないでね」と娘に釘を刺されるのもシャクである。ようやくコードに慣れて演奏もまともになったというのに。(2007/03/12)