23 オフコース
フォークのことあれこれ
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●オフコースのファンでいることはそんなに恥ずかしいことですか
・ニューミュージックの位置づけ
・2人と5人のちがい
・男にとってのオフコース
・私と妻のオフコース
●オフコースベストを買ったけど
・オフコースはグループだった
・小田和正のメロディーでヒットしたけど
・鈴木康博の貢献
ここに掲載したのは2005年のものです。音楽ざっかんに掲載していましたが見落とされる方も多いので、1980年に書いた「フォークのことあれこれ」の続編として掲載します。
オフコースのファンでいることはそんなに恥ずかしいことですか(2005/08/12)
25年前のフォークのこだわりをまとめて気にかかっているのがオフコースに触れなかった悔いである。妻と知合いクルマの中で一番多く聴いたグループなのに、それを口にするのが恥ずかしい。
●ニューミュージックの位置づけ
フォークとJポップスをつなぐのが今では死語と化した「ニューミュージック」である。オフコースはそういう位置にあるグループだ。荒井由実、アリス、ティンパンアレー、山下達郎、YMOなどの軽妙なリズム優先の時代だった。吉田拓郎やかぐや姫以後のフォークは、それ以前と異なっていることはすでにこのブログでも論じた。フォークジャンボリーという野外コンサートにより、一部のファンの世界から客層を広げたことに特異性があった。でも、それは粗削りな音楽であった。ニューミュージックはそれにいっそうポップス音楽の味付けを高めたところに意義がある。歌謡曲とは異なるオシャレな都会センスの音楽であった。
●2人と5人の違い
オフコースが2人の時代(小田和正と鈴木康博)にはフォークディオであった。「ふきのとう」というグループと区別がつかないほど、ハーモニーの美しいディオだった。サイモン&ガーファンクルのスタイル濃厚なグループであった。でも、それゆえに目立たぬ存在であったことも事実だ。『僕の贈りもの』、『ワインの匂い』、『眠れぬ夜』などが懐かしい。オフコースが脚光を浴びたのは5人(上記のほかに大間ジロー・松尾一彦・清水仁)になってからである。アコースティックギターやピアノに加えて、エレキギター・ベース・ドラムス・シンセサイザーを取り込んだバンドに脱皮してからだ。オフコースを語るときどちらをとるかでなやむ。私はいずれにも関わり、どちらかに組することができない。そしてまた、解散後の小田和正も無視できないからだ。
●男にとってのオフコース
このタイトルに使った「オフコースのファンでいることはそんなに恥ずかしいことですか」は、新潮文庫の『May Be The Best Year
of My Life オフコースポケットブック』(オフコース著、1985年、おー25ー1)に作詞家の秋元康が書いている文章から抜粋したものだ。オフコースのファンであることを口にするのは男になじまない。愛をテーマにし、それを賛美するのはくすぐったいからだ。「このまま君を抱きしめたい」とか、「愛をとめないで」なんてシラフで言えない。
●私と妻とのオフコース
音楽と旅しか接点のない妻とオフコースの『愛を止めないで』、『Yes-No』、『YES-YES-YES』、『さよなら』を結婚前から聴いてきた。それは流行の反映であり、ごますりであり、本心でもあった。愛というのは楽しいだけでなく、ときにはわずらわしく、また気恥ずかしいものだ。別れにもあこがれたこともある。
結婚して23年たってもときどき思い出して聴くのも恥ずかしい。
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オフコースベストを買ったけど(2005/08/14 )
●オフコースはグループだった
古本屋で手に入れた新潮文庫の『May Be The Best Year of My Life オフコースポケットブック』の曲を確かめるために、東芝EMIの『2000BEST
Off Course』を買ってきた。収録されている18曲すべてが小田和正の作品である。家にあるシングルカットされたものとは同名曲でも印象がちがう。グループの演奏というよりソロの歌曲集のようで、なんとなく上品な仕上がりで落ち着かない。耳慣れた曲とあまりにも違いすぎてがっかりした。
●小田和正のメロディーでヒットしたけど
後期のオフコースは小田のワンマンバンドだったが、鈴木康博が脱退する前は作詞や作曲にそれなりにバランスがとれていた。ヒットした曲は確かに小田のメロディーラインであったが、演奏もハーモニーもメンバーの多様性があった。むろん、私の思い入れや勘違いも含まれているだろう。でも、一緒に聴いてきた妻もシックリこないようだ。CDをよく見直すと小さな文字で「小田和正作品集の再発」と記載されている。ベスト集というものを買うたびに味わう違和感がこのCDにもつきまとう。
●鈴木康博の貢献
オフコースは鈴木康博を抜きにして語れないグループであった。作詞や作曲それにハーモニーや演奏も小田とのバランスがあったと私は思う。このCDは除名者を抹殺した独裁国家を思い出させる。小田和正に恨みはないが、グループの演奏を期待したかっての隠れオフコースファンとして残念である。
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