労働者をバカにする時代
    2006年08月03日


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 IT成金がもてはやされ誰もが小金持ち気分になっている。トロ臭い生産よりもこぎれいなオフィスでマネーゲームで稼ぐのが勝ち組みとされた時代も少し前にあった。才覚がないばかりに勤め人を続けている身には肩身の狭い時代である。だから、いまどき自分が労働者だなんて口にするオロカ者は少ない。

 労働者というのは今の時代には、飲食業や清掃業に従事する外国人をさすのだろう。いわゆるブルーカラーと呼ばれた工場や炭坑で働く者のイメージがつきまとう。きれいな事務所でパートやアルバイトを使うホワイトカラーには縁もない言葉だろう。

 最近は正社員を採用せず、「派遣社員」・「業務委託社員」・「業務請負社員」と呼ばれる人たちが多くなった。これらはパートとかフリーターと呼ばれ、生産やサービスに多く従事している。ちなみに、フリーターはフリーアルバイターの略語である。ともあれ、終身雇用制度が企業の足かせになってきて、労働法の適用や社会保険の負担を免れようとして生まれたものである。

 言葉は古臭いけれど、労働基準法の「労働者」は、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者である(第9条)。つまり、契約の名称が「業務委託」や「業務請負」であっても立派な労働者なのだ。だから、パートもフリーターも労働者の一員であり権利もある。

 こういうことが忘れられて管理職と呼ばれたり、正社員であることをもってパートやフリーターを自分以下とみなすうぬぼれた労働者がいる。それが小金持ちや評論家ぶるのも困ったものだ。労働者は外国人ばかりではない。また、好きでやっているわけではないんだよ。

【参考】
 井上幸夫・笹山尚人『フリーターの法律相談室 本人・家族・雇用者のために』(平凡社新書、2005年)。ちなみに、この方々は弁護士です。

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