3ー1箱根☆無線の帰りに入浴
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静岡県側の道路が整備されて日帰りで伊豆へ往復できるようになってから箱根は急に寂れた。その前は紅葉時期に集中する車の渋滞に巻き込まれてイライラしたものだった。温泉旅館が宿泊客依存から入浴客を相手に脱皮を図ったころに我が家は利用していた。
入浴した主な温泉は目次3に掲載したとおりである。箱根湯本の温泉が多いのは、ターンパイクで交信してから国道1号を使って下ったからだ。箱根の温泉はどのガイドブックに出ているから細かいことにふれない。わたしの実家にも近いから身近すぎて印象が薄いようだ。無線で出向く前には芦ノ湖の遊覧船で湖面からまわりの山々を眺めていた。硫黄の臭いが鼻についでなんども入浴をためらった。家族は日帰り温泉めぐりが楽しみで無線の付き合いに耐えたようである。
団地暮らしのわたしは箱根ターンパイクにある大観山で関東一円の無線局と交信できるのが魅力だった。ここは眼下に芦ノ湖が見下ろせ、その先に大きな富士山が眺められる展望ポイントだった。でも、家族が耐えられるのは40〜50分だった。
箱根は無線だけでなく山道走行をするために出向いた。芦ノ湖スカイラインや箱根スカイラインを走ったり、谷間を走るカーブの多い「姫街道」(国道138号)を利用して御殿場に抜けたことも多い。月1度のペースで10年出向いたから家族はうんざりして今では近寄りたがらない。
【追記】
箱根についての案内は山口由美さんの『箱根人の箱根案内』(OH文庫040、新潮社、2000年)をおすすめしたい。箱根生まれの箱根育ちという箱根つくしのタイトルもおもしろい。1章の地理の1話から6話が温泉にふれ、他の章でも温泉をとりあげる。ガイドブックとしても役立つが、醒めた目で箱根を語るのもおかしい。100話目の「箱根気質」は思わず苦笑させられた。長くなるが引用しておきたい。横浜人や沼津人そしてひま人にも通じるものがある。
「箱根なんて、本当は田舎なのである。最終の登山電車は午後一〇時代で終わってしまうし、バスなんかもっと早い。でも、「箱根人」は自分達を田舎者だとは決して思っていない。小田原に行かなければ本屋の一軒もなくて、せいぜい雑貨屋か、コンビニエンスストアに雑誌が置いてある程度なのに、文化の高い土地柄だと自負したていたりする。(中略)小さな図体には、不似合いなほどの知名度と存在感。都会ではないけれど、田舎でも決してない。そんな独特な環境が、「箱根人」としての強いアイデンティティと、どことなくアンビヴァレントな箱根気質を生んでしまうのかもしれない」p228ー229