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――私は、貴方の幸せの女神にはなれない。 貴方の傍に居ても、何もしてあげることが出来ない。 それでも、私は傍に居たくて。ただ、それだけで。 +恋の名残+ 想いを打ち明けて、受け入れて貰って。 御伽噺なら、これでハッピーエンドだ。 しかし、現実は御伽噺とは違う。 私は、彼の優しさが特別なものだと、少々自惚れていたに違いない。 私の危険を心配し、抱き締めてくれる…。 それはきっと、私の存在の危うさから来たもので。 彼にとって、自分は……普通より少しだけ大切なものかもしれないなんて。 本当に、酷い自惚れだ。 そう叱咤していないと、気持ちを抑えきれない。 穢れた神の羊が何を望む? 娼婦の分際で、口付けを数えて胸を震わせていたなんて、どうかしている。 (私が貴方に上げられるものは…もう、「さよなら」の言葉だけなのに) (どうしても、それが差し上げられない、私を許してください…) そのうち、彼から別れの言葉を告げられるだろう。 その時は、精一杯笑って受け入れられるといい。 無様に縋って、泣いて、彼を苦しめないように。 …もし失敗したとしても、暫くすれば、彼だって私の存在を忘れるだろう。 この身が消えれば発動する忘却の呪い……異世界の間のバランスを取るための安全装置のようなもの……が、今は唯一の救いだ。 (…それでも、いつか思い出してくれたらいいな……。) 酷く愚かで、滑稽な女のことを。 …どうか、笑って。 掻き鳴らした竪琴の音は、とても甘く。 幸せな恋の歌に、少しだけ泣けた。 |