しょうこ
「晶子さん」について
「晶子(しょうこ)さん」とは、私が三誌に渡って、実に足掛け八年位描き続けたた主人公の名前です。
掲載誌や掲載期間によって、少しずつ変化してはいったものの、基本は同じキャラクター。
美人で、お調子者で、でも曲った事が大嫌いな気っぷの良いお姉ちゃん、そしてなぜか、失恋ばかりしている。
初代は、競馬ブームとワンレンボディコンブームの最中、競馬専門マンガ誌で連載した、「なんて達人な私」の佐築晶子。皐月賞に引っ掛けてテキトーに付けた名前でした。<左図>
当時は「おやじギャル」なんて言葉が流行し、若くて綺麗なOL達が焼き鳥屋や競馬場に進出し始めた頃。
おりしもオグリキャップの登場で空前の競馬ブーム、何誌もの「競馬マンガ誌」が創刊されて、一冊丸々馬だらけのマンガ雑誌が書店に並び、それをまた女性が手に取るといったご時世。
で、当時失業中だった杉本に、「知人の紹介」という地味〜なルートでもって、「女性の描き手が欲しい」というだけの条件で、短編連載の話が転がり込んで来た訳です。
編集サイドが出して来たのは、「女の子が競馬をやる話」。
流行にうとい私は、それまで競馬なんて全く縁も無く、ひたすら幼少時の「黄金町の恐いおじさん」(昔は横浜の根岸に競馬場があったり、黄金町に馬券売り場があったのよ)のイメージのみ。
色々取材しましたわ、府中と川崎の競馬場に行ったり、いろんな人に話を聞いたり。
そして、編集さんとの話し合いで、主人公は当時流行り(?)の「ブランド大好きタカビーOL」という路線に決まり、さあ大変、OL経験も無いしブランドの知識も皆無の私は、正直競馬よりもビビッて取材に明け暮れましたとさ。
そして慌ただしく誕生したのが、「なんて達人な私」。
「達人」という単語も当時ちょっと流行ってたのかなあ、スンナリと通って、主人公もタカビーだけどドジでお調子者、と私の好みも取り入れてもらい、以前某青年誌で唯一受賞したマンガを見た編集者から「こんなの」と御指名を受けた、ワンレンボディコンミニスカ美人、赤い口紅で外観も決定。<右図>
少女誌でやってた頃には、「ツリ目はダメ、グラマーはダメ、キツイ性格はダメ」とダメダメづくしでウンザリしていた事が、全てOK!夢のよう。
残念ながら、わずか半年で雑誌が規模縮小のため、という理由で連載は打ち切りになってしまったけど、すごく楽しくて、色々考えていたのよ、ストーリーを。好きな馬がソーセージになっちゃう話とかさ。
でも、この連載を見て仕事を持って来てくれた編集さんがいてくれて、取りあえず食い繋ぐキッカケになったんだから、記念すべき作品なんだよね。
相棒の桃ちゃんが、ここでは「小栗」(そう、オグリキャップのオグリなの!)と名乗っているのも、時代かな。
二代目は、半年で競馬誌に首を切られた後、拾ってくれた青年誌で、やはり当時の女の子の流行を狙って「朝寝朝シャン朝帰り」の小原晶子。定職に付かず玉の輿を夢見る、モチロン、小原小助サンにあやかりまして。
「人材派遣」なんてのも、当時としては目新しいアイテムで、まだバブルの勢いの残る世の中、うまくやる女は派遣で大企業の男をゲーット!みたいなノリが通った時代。
前回の「競馬」というワクが取り払われ、それならいろんな職業を描いてみよう、と思っての企画でした。
時代のせいか、私の気持ちがゆるんだからか、次第に晶子さんは色気が無くなって、ますますヤンチャでお調子者になって行く。「元気がいいね」とお誉めの言葉をいただいたのも一因です。
相棒は「桃世」と名乗りだし、もう一人、前回社長秘書だった「マリエさん」も同居人「サユリさんとしてレギュラー化。これが次には「華子さん」と名を変えて社長令嬢に納まるキャラの前身です。
毎回主人公の職業が違う、という事や、二回目からタイトルページに映画のパロディを使う企画を立てる等、楽しいお仕事でありまして、いろんな職業の本を読んだりして張り切ってましたね。
しかしやはり連載5本で雑誌が廃刊になってしまいました。
そして三代目、女性向け「M」誌で、またまた拾っていただいて、今度は「花のOLシリーズ」佐倉晶子になりました。<左図>これが6年位続いて、殆ど私の生活の一部になっていたんですが、残念ながら単行本も出ず、終了。
最終回がちょうど2001年の年明けに発売だったのも、良い区切りではありました(こじつけ)。
「花のOL」という言い回し自体が、なんか昭和的なんすけど、これは気が付いたら付いていて、まあいいか、他に付けたいシリーズ名も無いし、という感じでしたが、そういう方向性の無さがイマイチ受けない理由だったかも、とは、終了後の感想。
掲載誌が今度は女性対象、しかも読者の大半は主婦、という事情の上、世の中がどんどん不景気になり、女の子達もアッシーメッシー玉の輿なんて浮ついた事を言わなくなって、三代目晶子さんはますます生活感溢れるキャラになっていく。
編集サイドの注文として、「季節感を取り入れて」というのがあって、春はお花見、夏は海、秋は運動会、冬は大雪…と、毎月読み切り連載なのにネタに困る事は殆ど無かったな。(さすがに6周目ともなるとちょっと…だったけど)
そして、途中からライターのIさんが色々取材の企画を持ち込んで来てくれるようになって、私一人では想像もしなかったような取材もさせていただきました。富士急ハイランドからレーザー脱毛まで、ね。聞き酒大会で満点取っちゃったりして。
残念ながら、「M」誌とも現在はお付き合いが途絶えてしまいましたが、楽しい思い出ありがとうって感じかな。
当ページでは、「作品」コーナーで「晶子さん」作品を公開しています。
更新はゆっくりペースですが、時々お付き合いください。
季節の情報盛り沢山(古いネタも多いかも…)。
見てね。
<お知らせ> 『晶子さんシリーズ』の一部が携帯でも読めます。 『ケイタイ☆まんが王国』 |
『晶子さんシリーズ』の作品リストを作りました。
(赤文字の部分が携帯配信されている作品、タイトルにリンクが貼ってある作品は当HPで公開しています)
NO. タイトル 頁数 掲載年月備考 1 義理義理ガール 7 1993. 2短い短編2本掲載の後、May紙上で晶子さん、桃ちゃん初登場。 2 コヨイハナミダ 7 4要はダジャレですね。もう課長が登場してるのでビックリ。 3 決戦日は10・10(イチゼロイチゼロ)! 17 10社内運動会なんて出たくないなぁ。社長令嬢・華子さん、社長、営業部長登場。 4 センチメンタルじゃ〜にぃ〜 17 11一人旅好きな私。旅先で知り合う一人旅の女性に自分を重ねてみたりして。 5 スズメが泣いている 18 12また出た華子さん。バブル崩壊が話題になってるけど、まだまだ景気も元気な時代でした。 6 バレンタインが止まらない 17 1994. 1『義理義理ガール』の一年後のお話。好評だったそうです。日本人って“優しい嘘”が大好きね。 7 ホワイト マジック デー 18 2“お局様”清川さん登場。サエないおじさんの恋物語って、地味だった? 8 春だ!バトルだ!引っ越しだ!! 17 3不動産屋でのエピソードは、殆ど実体験。職業差別は描けず残念。やっと、サオリさんが登場。 9 名もなく貧しくGW(ゴールデンウィーク) 18 5当時は祝祭日はATMもお休み、今ではありえない話。サトル・タケル兄弟、圭子さんも登場。 10 カラフル・レイン 16 6梅雨時を何とか楽しく過ごそう、という企画だったんだけど、私自身雨の日は嫌いなので困った。 11 夏にご用心 16 7「水着がハイレグ過ぎる」と、編集様から苦情がきました(笑)。 12 丑三つワンダーランド 17 8当時住んでた部屋の窓からお墓が見えたのでスケッチ。こういう話、たまには描きたい。 13 ハリハリハリケ〜ン 20 9ミエハリちゃんこと張谷美江子登場。子供の頃って災害もちょっと楽しかったよね。 14 青空イチバン! 18 10今年の運動会はサトル・タケル兄弟の見学をハシゴ。サトルの担任の先生登場。 15 丘を超えて行こう! 18 11当時、血統書付きの高価な犬が山中に放置されて野犬化してると話題になったんで。 16 聖者がマジにやって来る 18 12サンタがどんどん増えてく絵は実写で見たいと思ったけど、トーン貼りが大変でした。 17 新春グラフィティ 19 1995.1禁じ手“夢ネタ”だけど私は好き。票は稼げなかったけど編集さんも誉めてくれた。 18 スキスキスキー天国 19 2スキー+バレンタインと、ちょっと欲張ってみました。リフトでチョコ撒きは楽しそう♪ 19 くしゃみ3回春一番! 19 3花粉症の私は晶子さんこんな苦しい思いをさせたくない 。美男の薬屋さん登場。 20 鏡よカガミ 19 4う〜ん晶子さんは美人でスタイルも良いという設定なんだけど…贅沢だ。 21 バリバリ天国 19 5“リゾラバ”が話題だった頃。他誌でも同じネタでシリアスな話を描いたっけ。 22 花嫁は眠れない 19 6結婚願望は薄い方だと思うけど、結婚式シーンはドレスが描けるから好き♪ 23 夜空に花火があるように 19 7花火大会大好き!浴衣の似合わない日本人はいない(断言)。 24 晶子、故郷へ帰る 21 8最初幽霊話だったんだけど打ち合わせで反対された。そうかも。 25 バーサンの法則 19 9敬老の日が近いので年寄りネタ。元気老人ハルさん、松吉さん登場。 26 秋だ!シェイプだ!体力だ! 19 10典ちゃん登場。水泳コーチ、タミオ君も。水泳おばさんもまた出したかったけど忘れた。 27 湯けむりホイホイツアー 21 11露天風呂に入ろうとしたら猿の先客がいたってのは実体験。ホイホイツアーって…(笑) 28 ボーナス商戦売らずに越せるか! 19 12「たまには仕事しようよ」という事で…事務仕事では思い付かず。西条店長(当時のCMのパクリ)登場。 29 こいつあ新春(はる)から… 19 1996.1また年が明けました。改まった思いでキャラ総登場を企画。 30 マイファジーバレンタイン 19 2今年も晶子さんは義理チョコバラ撒いてます。“ファジー”って流行ったな。 31 グッバイ課長(ボス) 18 3異動シーズンなので誰か飛ばそう(笑)。「不況」が口癖の課長は退場、甘利一家登場。 32 桜 サクラ 佐倉 19 4帰国子女のイチローと、サトルのバトル勃発。花見は日本人の心だ♪ 33 ゲイシャガールズ南米を行く 19 5こんなえーかげんなコトを描いていいんだろーか…?南米の皆様、すみません。でも楽しかった! 34 桃ちゃんの雨の日大作戦 19 6畳部屋にカーペット敷いてカビ生やしたのは私です…ノラネコと遊んでノミ繁殖させたのも私です…。 35 降るか晴れるか7月7日 19 7ミエちゃんが激烈に恥じる故郷の話。いい所なのにね。晶子さんのシャツは当時の私のお気に入り。 36 夏をブッとばせ! 15 8晶子さんは夏生まれ(獅子座)、気候温暖な静岡生まれ。でも東京の夏の暑さは尋常じゃないです。 37 カイカイBABY 23 9アトピーを扱ったら反響が多く驚きました。薬屋の幼な妻・奈津美ちゃん登場。 38 展覧会で会いましょう 18 10たまには『芸術の秋』なんて言ってて、結局ドタバタ(笑)。陶芸家の大先生はモデルがいます。 39 いまどきの目が点々 17 11ダンス甲子園とか流行ってたっけ?無理してる…文化祭ならもっと面白い事いっぱいあるのに。 40 サイレント・バトル ホーリー・バトル 19 12髪切った晶子さん、なんと本シリーズ唯一のキスシーン。続きは何もありません、ごめんね晶子さん。 41 新春は甘くない!? 16 1997.1晶子さんの弟“あっちゃん”登場。もっと活躍させたかったな。扉絵の着物は私の黄八丈のアンサンブル。 42 冬だ!寒波だ!積雪だ! 18 2雪の積もった日に散歩に出て道に迷ったのは私です(笑)。タミオ君は通りかかってくれなかった(泣)。 43 買い物天国 明日は地獄 17 3華子さんの乱暴なお買い物。実在の高級ブランドスーツの値段をアシさんに一桁少なく書かれた思い出が。 44 21 5大金持ちの華子さんと見栄っ張りのミエちゃん、間に入った晶子さん。でもみんな大酒飲みのお調子者。 45 雨降ってドシャ崩れ!? 16 6結婚式のスピーチなんて頼まれた事ないな。 46 19 7夏の始めの林間学校。そう言えば私、テントで寝た経験無いかも…。 47 海だ!日焼けだ!民宿だ! 19 8私も若かりし頃、日焼けで死にそうな目にあったので、サンケアには神経質。シミソバカスが消えないの…。 48 お日柄 人柄 華子柄 21 9華子さんの衣装はパリコレとかダイアナ妃の写真集見て描いてました♪華子さんの思い人・山田君登場。 49 13 10実はブドウ狩り、やった事無い。リンゴや苺はあるけど…桃ちゃんはどうやって生計を立てているのだ? 50 21 11バス乗って深大寺まで取材に行きました。ハルさんのライバル・ぶりっ子婆さんヨリ子さん登場。 51 歳末大トラS・O・S! 21 12来年は寅年というのと酔っぱらいをトラというのを掛けて。扉絵を年賀状にしました。 52 お正月だよ!全員集合!? 15 1998.1なんで思い付いたか、登場人物をカルタにしちゃった。でも50音全部は入らず残念!38枚でした。 53 冬だ!「ゆらり」だ!極楽だ!! 21 2この頃から取材モノが増える。「ゆらり」も現地に行ったけど、オープン前でお風呂には入れなかった…。 54 ホワイトナイツ’99 19 3知り合いの男性に「義理チョコ撒く女はちょっと…」と言われて。確かにこの気分の高低はキツいかも。 55 桃ちゃんフォーエバー 19 4春に出会いと別れは付き物。こういうダマシは一度限り…桃ちゃんいないと話が繋げない(笑)。 56 バーチャルで日が暮れて 21 5これも取材モノ。ゲームとか興味が無いので「???」な私なんだけど…。 57 典ちゃんの夏はそこまで大作戦 17 6美容外科に脱毛の取材。晶子さんのキャラではないな…と、典ちゃんメインでやってみました。 58 夏休みだョ 早朝体操 21 7夏休みと言えばラジオ体操。ゆっくり寝させてよ…。サトルに片思いの長沢さん登場。 59 アッパレ真夏のキャンペーン 15 8たまには働こうよ、と思うと、ついつい事務仕事以外に。OLってどんな仕事してるの??? 60 19 9富士急ハイランドには何度も取材でお世話になりました。『フジヤマ』は大好き! 61 秋の夜長の音楽会 15 10老人と小学生が寄り集まって虫の音を聴くと。地味な…。子供の頃鈴虫飼ってたなぁ。 62 スカッと一発!ストライク 21 11ボウリングがブームというので編集様と後楽園へ取材に。私はガーター女王です(笑)。 63 聖夜(イヴ)に女(イヴ)達がブイブイ! 19 12クリスマスイヴに女友達が集まってパジャマパーティ。憧れですが人が集まらない。 64 波だ!ハワイだ!正月だ!! 21 1999.1実はハワイ、行った事ないんですが。外国で暮らす日本人って独特の雰囲気がありますね。 65 スノボ天国 ビール天国 21 2取材で地ビールの味見をさせていただきました。スノボは未体験、本と首っ引きで描いたっけ。 66 お気楽ワイン事情 21 3ヨーロッパ以外のワインを宣伝するパーティを取材。確かにワインが身近になりました。 67 21 4自分の足で取材した、京都の桜名所コース。また行きたいな。 68 動物園へ行こう! 21 5上野動物園へ自主取材。動物園も変わって来たけど、『絶滅危機』の札の多さにガクゼンとしました。 69 気分は人魚姫(マーメイド) 20 6当時スイミングスクールに夢中だった私。大張り切りで描いたっけ。 70 …されどバースデー 17 7いったい晶子さんは何歳なんだ?実は年齢設定はこの時決まった。今なら30歳にするけどな。 71 HOT ホット ほっ…と 21 8何度目かの夏バテネタなので、切り口に悩みました。 72 花ある日々 17 9私自身、鉢植えを枯れさせる名人。たまに押し入れでモヤシを作って食べるのも、やってます。 73 ハマるゾ地元ウォッチング 21 10晶子さんの住む町は架空だけど、モデルは当時住んでたあたり。河原土手も商店街も大好きでした。 74 爪先に気をつけろ! 21 11知り合いが巻き爪で、取材させてもらい、微に入り細に渡って聞かせてもらいました。痛そう〜。 75 冬だ!コタツだ!日本酒だ!! 21 12やっぱり晶子さんなら日本酒か焼酎のイメージでしょうね。世代を越えたお付き合いっていいな。 76 ミレニアムに乾杯! 19 2000.1最終回はこうしようと、かなり前から決めてたんだけど…怒った読者様もいらしたみたい。ごめん。
「晶子さん」について 終