5:ペン入れ(面線)

面線(オモセン)というのは、人物の線の事(だと思う)。
殆どのマンガ描きは、背景より先に人物をペン描きします。
人によっては、顔の中身だけ後から描く(輪郭線はGペンで顔の部品は丸ペンに持ち換えるとか)人もいれば、右上からキチンと一人ずつ入れていく人もいるようです。
人物でも細かな部分、服の柄やフリルとか、アクセサリー、人によっては髪の毛の線なんかも、「仕上げ」に分類して後から描く(人に任せる)、という場合もあります。その辺はけっこう曖昧。

私はだいたい、10〜14ページくらいを一束として、1本のGペン<道具12.16>で小さい人物からバラバラに入れて行きます。
順番に描いて行くと気分はノレるんだけど、乾いてない線を引きずったりして汚しやすいし、ペンは線を引くに従ってだんだん磨耗して線が太くなるので、先にカリカリした細い線で細かい所を描いて行って(上図左)、少しペン先が柔らかくなったあたりで大きい人物を描く(上図右)と、柔らかい線が自在に引けて、たいへん心地良い。
だいたい15ページを超えると、今度は太くなり過ぎて線が汚くなって来るので、また新しいペン先に換えて、次の10〜14ページの束をペン入れする。
気分的にも、やはり見せ場は人物も大きく描く事が多いので、先に説明的なシーンの小さい人物をペン入れしているうちにアイドリングして、この顔がキメどころ!というあたりで調子が出ているといいんですね。
作品が30ページなら10ページ3回、50なら12〜13ページに分けて4回、という感じで、合間に食事や睡眠が入る事が多いです(10ページの途中で我慢できず休憩、って事もあるけど)。


で、それぞれの人物を描くのにも順番がだいたいあって、私は髪、目鼻が先で顔の輪郭線はバランスを見ながら最後に入れるのが描き易いみたい。(下図左→右)
全身描く時は、顔の中身と髪の後は、けっこうバラバラかも、ポーズや角度によって、なるべく引いた線をこすらないように、右手の次が腰で足先まで引いてから左手とか。

人物線が引き終わると、なんか一安心、と言うか、一番神経使う過程は超えた訳で、だいたい一旦バラバラになってた原稿をページ順に並べ直して、全体の仕上がりを考え直します。
このコマは背景入れるとか、効果線にするか、トーン処理にするか、どの服に色や柄を着けるか、なんて事をおおまかに考えつつ、コーヒーなんか飲むのは至福の一時だったりして(笑)。
特にベタ(黒く塗る所ね)は画面構成上重要なので、赤のボールペン<道具5>でマークしておく事が多い(上図右)。
これも元々は、トーンの青印と同様、アシスタント用の指定の印だったんだと思うんだけど、独りで描いていても、背景や効果線を入れながら「あ、ここベタだっけ」と意識できるとバランスが取り易いようです。
たいがい後から追加は出ますが…。

 

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