『クローン・ウォーズ』のお仕事
2009年、『スター・ウォーズ』のスピンオフCGアニメーション、『クローン・ウォーズ』の フィルムコミックを作るので、その絵コンテ起こしをやらないか、と言うお話を、知り合いからいただきました。 『スター・ウォーズ』と言えば、私にとっては映画入門編のような思い出深い名作。 映画には出ていない新キャラクター、アソーカ・タノが主演と言ってもいい活躍をするんだけど、この子がなかなか賢くていい。 いつも一人でやる仕事ばかりなので、連絡や段取りがこんなに大変なものかと思ったけれど、実際作業に入ってからは、楽しいお仕事でした。 ついでに、ちょっとしたお楽しみで描き起こした落書きも載せちゃいます。 |
さて、私のやった具体的なお仕事について。 動画のDVDと脚本を渡され、ルーカスフィルムが「使っていいよ」というカット写真をネット上(専用パスワードが発行される)で探して、コマ割りしながら当てはめていく。 こちらは第一話、と言っても、コンテを描いたのは2本目なんだけど、最初の頃だったので、かなり絵も入ってる。 …しかし怖い顔だね、ヴェントレス(笑)。 |
こちらは冒頭、第一話の最初の見開き。 絵コンテと、だいたいの流れは同じながら、かなり大小の扱いが違ってます。 一番下のコマ、ここも私の好みでは、主要キャラであるヴェントレスの初登場シーンだし、絵的にも気に入っているので、ドーンと全面に出してね♪という意図でコマ枠からはみ出してみたんですが、普通の漫画ならよく使われるこの技法も、デジタルで切り貼りする場合には結構な手間になるとか。
|
正直、どうしてこの話をアニメシリーズの第一話に持って来たのか分からないんですが…。 (→)クローン兵士達は、当然クローンなので同じ顔、でも、それぞれちゃんとキャラがあって、微妙に髪型や性格付けが違ってる(クローンで育ちも一緒でも性格は違うのか…猫なんか毛色の柄は違うって話だしな)。 (←)ヨーダも映画に比べて随分と若々しい(でもジジイと呼ばれてるけど…)。 |
|
ドゥークー伯爵の珍しい女性部下・スキンヘッドが色っぽいアサージ・ヴェントレスと、ゾウムシみたいな“トイダリアン”のカトゥーンコ大王。 ヨーダもそうだけど、こういう変わったフォルムのデザインってどうやってできるんだろう??? アナキンやパドメを始め、「どーしてこんな顔!?」と思うキャラが多い本シリーズなんだけど、ヴェントレスももうちょっと美形にしてもいいのに……なんじゃこの研ナ○コは!?
|
(↓)あらら、ヴェントレスさん、目玉が輪郭からハミ出しちゃってますね(笑)。
(→)ヴェントレスさんはお気に入りなので、最初に描いてみたくなっちゃった。 絵コンテでも、ナイスバディにロングスカートのラインを描くのが楽しくて、動きも大きいし楽しいなぁ〜と描き甲斐があったし、負けても向こうっ気が強いのが可愛くて。 しかし困った事に、眉毛の無いのをマンガで描くのって難しい。 つくづく、DG制作しか考えてないキャラクター造形だわ……。
|
絵コンテはこの、第二話を最初に描きました。 まずはお試し、デモテープみたいなモンと言われてやってみたら、「じゃ、これで」と言われて、むしろ慌ててしまった(笑)んだけど、かなり細かく入ってます。 本当は、30分のアニメを40ページで起こせというのは無理があると思ったんだが。版元の編集さんが、どうしても1冊4話、ページ数も増やせないと言ってる、という事で。
苦手なメカも、けっこう真面目に描いてる(笑)。 動画の長さに対してページ数が少ないため、ちょこちょこ入る バトル・ドロイドの漫才は、本筋に関係ないのでカットせざるを得ない事も多く、断腸の思いで切りました。 正直、私にとって人間のキャラの造形がイマイチ好みでないこのアニメ、彼らが心のオアシスでした(笑)。 |
|
|
ちょっとしか出ないけど、動画見ててとっても描きたくなった顔の、ユラーレン提督。 私の絵コンテでは名前もカットしてしまったけど、どうやら映画版、それも旧シリーズに登場する“ユラーレン大佐”の若かりし頃の姿、らしい。 背後には律儀にもクローン兵士のヘルメットまで描いてます(笑)。
|
中ではやっぱり、メイス・ウィンドゥが一番感じ出てるかな?
通して観て、『スター・ウォーズ』シリーズって、ある意味オビ=ワン・ケノービの物語かも、という気がする。 |
(←)でもこの顔では、ちょっと……………ね。
で、これまたついつい描いてしまいました、オビ=ワン・ケノービ、若かりし姿。(→) …なんか脱サラして田舎で蕎麦打ちとかやってるオヤジみたいだ(笑)。無農薬しか使いませんとか言ってね。 考えるとユアン・マクレガーって絶妙のキャスティングだったなぁ。 |
どうもね、アメリカ人って、この手の顔好きみたいね。 しかし何と言うか、我ながら、いくら適当に描いたとはいえ、この顔でヒーローは無いよなぁ…(笑)。 |
|
本編の事実上の主役、アソーカ・タノちゃん。 この若くて明るい少女が、この後の地獄にどう関わっていくのか……なんて、ついつい考えてしまうけど、実際映画には登場しないキャラなので、どっかでドロップアウトしたのかな?多分、師匠のアホにいち早く気付いて見放したんだ(笑)。えらいぞ、アソーカ。 それにしてもこのデザイン、ヴェントレス以上に、漫画原稿で描こうと思ったら本当〜に大変、顔のトーン貼りも頭も。 |
映画では厚化粧の女王として登場し、後に素顔を明かす、パドメ・アミダラ。 実写版ではナタリー・ポートマンが、可愛いけどちょっと野暮ったい感じだったけど、こちらのパドメは可愛いとはちょっと(汗)……とっても“お姉さん”な女性になっちゃってます、見た目。
映画では、女王の頃は必死で毅然とふるまってる感じが好感持てたんだけど、アナキンに恋してからは泣いてるばっかのだらしない女になってしまった。 とはいえ、アナキンとのバカップルぶりも笑えるし、なかなか楽しませてもらいました。 けっこうアクションシーンなんかもあるんだけど、ものすごく運動神経ニブそう(笑)。 |
パドメと言えば、いつも傍に付き添ってるのが C-3PO。 何と言っても旧シリーズからのレギュラーだし、勇敢でオトコマエなR2-D2と違って、弱虫だし理屈っぽいし、機械らしからぬキャラクターで大好き。 R2の方もファンなんだけど、やっぱり姿形が機械過ぎて、私的には絵にしてもそんなに楽しくはなかったみたい。 |
私が担当したのは、第1.2.3.4話と第8話の5本。 8話目は、ちょと時間があった(途中で発売日が延びたのです)せいもあり、また全体にコメディタッチで微妙な動きが出したかったせいもあって、かなり絵が入ってます。 キャラクターも、なんたって半魚人みたいなローディアの王・オーノおじさまがカワイイ! でも服装なんか、西太后時代の中国宮廷衣装みたいで、けっこうかっこいいんだけどね。 |
変な形と言えば、ガンレイに負けないヘンな形で、実写版では世界中から大バッシングを浴びたという噂のジャー・ジャー・ビンクス。そんなに嫌われた割りには大胆にも、第8話の主人公を務めてる。 確かに、シリアスで悲壮な運命を転げ落ちて行く『スター・ウォーズep.1〜3』の中においては、かなり浮いた存在で、皆が「ウザい奴」と感じたのは良く分る。フルCGの姿形も美しいとは言いがたかったし。 デザイン的にも性格的にも動かし易いので、自然とペンが走った。
|
|
ところで、この2冊8話のうち3話(第5話〜第7話)の絵コンテは、私の大学時代の先輩、どんぶらこさんが担当してます。 私と違ってデジタル大得意のどんぶらこさんは、絵コンテもMac制作。 |
(←)どんぶらこさん描くところの、アソーカとアナキン。 アソーカの顔の適当さも凄いが、アナキンだけがなぜだか美少年風なのも気になる。 普通男性って、女の子は可愛く描こうとしないか???野郎は適当でも。 …と、思って我が身を振り返ると、そこには私の描いた適当過ぎるアホキンいやアナキンが………(笑)。 |
最初に描かれたアソーカ(左)と、後からデザイナーさんにそのまま見せると知って、必要以上に美少女に描き直されたアソーカ(右)。 この落差はすごい………。 って言うか、最初のアソーカの顔が、すごい。
|
この宇宙戦闘シーン、どうよ…………。 |
気合い入ってる時のグリーヴァス将軍(上)と、パウル・クレーみたいになっちゃってるグリーヴァス将軍(下)。 それでも感じ出てるから凄いです。 …そうか、グリーヴァス将軍って外側はメカだもんな。
|
と、まあ、こんな感じで楽しいお仕事でありました。 ついでに、何の気無しに落書きし出したら楽しくなって、キャラを勝手に描いてみたら、思わず熱中してしまった。
遊んだついでに、とうとう思い余って、こんなモノまで作成してしまいました!!
『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ1巻』 おっと、ついでと言っちゃナンだけど、
|