パラレルワールドく
パラレルワールド


はじめに

パラレルワールドを直感的に分かりやすく説明します。
まず非常に単純な宇宙を考えます。
宇宙は2次元で、粒子の数は4個です。
すると宇宙には24通りのパターンが存在することになります。
各宇宙を移動する順番をタイムラインといいます。
各宇宙には動きはありません。
動きは、タイムラインを移動することで生じます。
移動するのは「意識」の焦点です。
(図1)のa→b→cのタイムラインは、粒子2個の位置が違うだけなので、このタイムラインを選択する確率は高くなります。
(図1)のa→s→iのタイムラインは、粒子4個とも位置が違うので、このタイムラインを選択する確率は低くなります。
実際の宇宙には10^80個ほどの粒子があるので、無数のタイムラインが存在します。
ただし、同じ粒子は交換可能です。

(図1)
粒子数4個の2次元宇宙は、24のパターンで全て表すことができる


上記の説明では、多世界解釈と似ているところがありますが、多世界解釈では「意識」は物質の動きから生じるものとしています。
ここで紹介するパラレルワールドでは「意識」は物質の外に存在するものとします。
分かりやすい例にすると、物質は2次元平面に張り付いた画像とします。
それに対して「意識」は高さのある3次元空間に存在するものとします。
そして「意識」の焦点が2次元平面の画像上を移動するものとします。

パラレルワールドを説明するために、非常に重要な実験が存在します。
それは、「ベルの不等式」です。

アインシュタインは、当時確立した量子力学において、量子もつれ状態の粒子間には距離に関係なく瞬時に情報が伝わることを指摘しました。
片方の粒子のスピンの向きを測定すると、瞬時にもう片方の粒子のスピンの向きが決定されるというものです。
これは、いかなる情報も光速を超えられないという特殊相対性理論に反しています。
そのため、アインシュタインは実際には、粒子が隠れた変数を持っていて粒子のスピンは測定前にすでに確定していると考えました。
その後、ベルは隠れた変数が存在するのかしないかを実験によって確かめる方法を発見しました。
実験の結果、隠れた変数は存在しないことが分かりました。

ベルの実験の要点を分かりやすく解説します。
図2のような実験を考えます
中央の粒子発生器から左右の粒子測定器に向かって、粒子もつれ状態の粒子を発射します。
2つの粒子測定器では、別々に3方向の角度に対する粒子のスピンを測定することができます。
測定角度は左右とも毎回ランダムにセットします。
(図2)

特定の角度でのスピンを片方の測定器で観測すると、必ずもう片方の測定器で同じ角度でスピンを測定した場合、逆向きのスピンが観測されます。
量子力学では、観測されるまでスピンの向きは決まっていないとされています。
ということは、片方の測定器で粒子のスピンを観測したら瞬時にもう片方の粒子のスピンが決定されることになります。
観測されていない方の粒子のスピンの向きが瞬時に決定されることは、観測された方の粒子のスピンの向きの情報が、もう片方の粒子に光速を超えて伝わることを意味します。
そのため、多くの人は実際にはスピンの向きは初めから決まっているが、観測者がそのメカニズムを知らないために、観測されるまでスピンの向きが分からないのだと考えました。
ただし、どのようなメカニズムで観測前から粒子のスピンが決まっているのかは分かりません。
ベルは、2つの粒子の間で「どのような情報を共有していれば、スピンの向きが初めから決まっていることになるのか」を調べる方法を発見しました。
粒子が隠れた変数を持つとすると、図3の情報を持っていることが分かりました。

(図3)
2つの量子もつれの関係のある粒子は、2粒子が共通の変数を持つとします。
1から8のパターンのいずれかです。

左の測定器が■を受け取った場合、スピンの向きは上向きとします。
右の測定器が■を受け取った場合、スピンの向きは下向きとします。
左の測定器が□を受け取った場合、スピンの向きは下向きとします。
右の測定器が□を受け取った場合、スピンの向きは上向きとします。
変数1と変数5は、スピンの向きが全てそろうので排除します。
排除した2個を除いた6個の変数の中から毎回ランダムで同じ変数を2つの粒子が持ちます。

測定器が変数3を受け取った場合について図を使って説明します。
(図4)

組み合わせの数は9通りです。
両方の測定器で、同じ角度でスピンを測定するのは3通り、違った角度で測定しても同じ角度で測定したのと同じ結果になるのは2通り、合計5通り「〇印の行」です。
このシミュレーションを多く繰り返すと、互いのスピンが逆向きになる確率は限りなく5/9=0.5555に近づいてきます。
しかし、実際に実験をすると0.5に近づきます。
隠れた変数が存在しない場合、全てランダムに決まるので、4つの組み合わせ(上上、下下、上下、下上))から2つの組み合わせ(上下、下上)が出現する確率は当然0.5になります。
実験の結果、隠れた変数は存在しないことが確認されました。

●不思議な現象を再確認します。
スピンを同じ角度で測定した場合、図6のAの状態には決してなりません。
Bのようにスピンは逆向きになります。
測定するまで1つの粒子のスピンの向きは、上下の重ね合わせになっています。
例えば、左の測定器でスピンの向きが上に確定するとします。
すると右の測定器ではスピンの向きは必ず下向きになります。
しかし、左の測定器でスピンの向きが上になったのは偶然です。
常識的には、右の粒子がスピンの向きを決めるためには、左の粒子のスピンの向きを知ることが必要です。
ベルの不等式の実験は、2つの粒子間に情報の伝達があるのかないのかを調べるのが目的です。
実験の結果、2つの粒子間に情報の伝達がないことが分かりました。

(図6)
図7から抜粋してます。


ここで「ベルの不等式シミュレータ」を紹介します。
シミュレータは粒子のスピンの向きを1000回測定します。
図5は、隠れた変数を使用したときで、異なる向きのスピンの出現確率は56パーセントになっています。
図7は、隠れた変数を使用しないときで、異なる向きのスピンの出現確率は50パーセントになっています。

フリーソフト「ベルの不等式シミュレータ Ver1.0 」をダウンロード(Windows用)


(図5)


(図7)


パラレルワールドの考え方だと、なぜ「隠れた変数を使わなくてもスピンを同じ角度で測定した場合、必ず両粒子のスピンの向きが逆向きになるのか」を図8を使って説明します。
粒子を発射する前、世界Aを観測すると100パーセントの確率で世界Aが観測されます。
粒子を発射した後、世界Aは世界Bと世界Cに分かれます。
ただし、世界Bと世界Cはもつれています。
したがって、粒子発射後の世界を観測すると、世界Bと世界Cが観測される確率は、50パーセントずつになります。
左右の粒子のスピンの向きが同じ世界は存在していないので、隠れた変数を使わなくてもスピンの向きが同じになることはありません。
つまり、量子もつれにある2つの粒子は1つの世界の中で、スピンの向きが逆になることが、セットとして組み込まれているということです。
各世界をセットで考えることは、パラレルワールドを考える上での基本原理の一つになります。

(図8)



パラレルワールドは物理的なパラドックスを回避するためにも必要です。
量子もつれと特殊相対性理論を組み合わせると、原因と結果の順番が逆になる現象が生じる場合があります。
下記の要領で「超光速情報伝達装置」を作ります。
この装置は、情報を超光速で送るものです。
この装置で過去に情報を送ることができます。
装置全体は、「超光速情報伝達装置」と非常に長くて非常に速い列車で構成されています。
実現性はありませんが、原理的に可能か不可能かを調べる、いわゆる思考実験です。

「超光速情報伝達装置」の説明
この装置は、電子の2重スリット実験を応用したものです。
量子もつれ状態の粒子を「量子もつれ発生器」からAとBに向かって発射します。
目的は、BがAに 0 か 1 を送信することです。
ただし、一つの情報を送るのに1000個ほどの粒子が必要です。
0 か 1 かは、干渉縞が生じるか生じないかで判断します。
B側のスロットを1つ閉じると、B側の干渉縞が消えますが、その瞬間、量子もつれ状態にあるA側の粒子が2つのスロットのどちらを通るが確定するので、A側の干渉縞も消えます。

超光速情報伝達装置
Bのスリットを開閉することで、Aに0か1を送信することができます。
(図9)



「超光速情報伝達装置」を非常に長い列車の中に装着します。
「粒子もつれ発生器」は列車の中央に置き、両スクリーンは、前方と後方に設置します。
この装置を使えば、自分がメッセージを送る前に自分が送ったメッセージを受け取るというパラドックスが生じます。
実際に何が起こるのかを、図10を使って解説します。
(A) メッセージを持った人がいます。
(B) そのメッセージを車両の先頭に渡します。
(C) メッセージは「超光速情報伝達装置」によって瞬時に列車の後方へ送られます。
この時点で、列車の後方では、地表から見て15秒過去に(分かりやすいように単位を秒にしています)メッセージが届きます。

(解説)
情報が瞬時に伝わるのは、列車の中で静止している人に対してです。
つまり、列車の前方と後方で秒針が共に上を向いている状態で情報が伝わることになります。
地表から見ると、列車の後方の秒針が上を向いた時刻は15秒過去になります。

(D) 同じ仕様の列車が逆向きに走っています。
すれ違う瞬間にメッセージを渡します。
(E) メッセージを「超光速情報伝達装置」によって瞬時に列車の後方へ送ります。
この時点で、列車の後方では地表から見ると、さらに15秒過去にメッセージが届きます。
(F) メッセージを送った人がそのメッセージを受け取ります。
メッセージを受け取るのは、自分がメッセージを送った30秒前になります。
なぜこのようなことが起こるのでしょう?
それは、列車の後方の時間が早く進むことが原因です。
光の速度は、どのような慣性系で測定しても一定です。
そのため、光速を一定に保つためには時間に伸縮する必要が生じ、このような現象が起こります。
世界が一つしか無いならばパラドックスが生じます。
しかし、無数のパラレルワールドとタイムラインが存在する世界では、少し違うパラレルワールドから届いたメッセージとすることができます。


「超光速情報伝達装置」を実装した列車
(図10)










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