ローレンツ力は相対性理論の効果ではない
2016/4/1 多くの文献で、「ローレンツ力は、相対性理論の効果である」と記述されていますが、これは間違っています。 相対性理論の発見で、ローレンツ力の正体が電気力ということが分かったのですが、相対性理論の効果ではありません。 これは、相対性理論の発見で、物質とエネルギーの関係がということが分かったのと同じことです。 相対性理論の効果とは、光速に近い速度で時空が伸縮したり、質量が変化することを言います。 マクスウェルの方程式を相対性理論を使って記述すると、の関係が導かれます。 この式を見ると、電荷と磁場の相対速度がの光速に近くなるとγが大きくなり、相対性理論の効果が出てくることが分かります。 しかし、速度が小さい場合はγ=1になり、となります。 この式は、電場と磁場が速度に正比例しますので、相対性理論の効果ではありません。(相対性理論の効果は速度に対して正比例しません) マクスウェルの方程式をローレンツ変換して詳しく調べてみます。 2つの慣性系間のローレンツ変換は次の式です。 (式1) 次の関係を使ってローレンツ変換を偏微分します。 ある現象が別の慣性系からどのように観察されるかを調べるためです。 (式2) (式3) 変換するのは、次のマクスウェルの回転の式です。 (式4) 成分で書くと、次のようになります。 (式5) 式3を使ってx成分をローレンツ変換すると、次のようになります。 (式6) マクスウェルの発散の式をローレンツ変換しておきます。(回転の式の改造に必要なため) (式7) この式をローレンツ変換して整理すると、次のようになります。 (式8) 式6の右辺の最初の部分を式8で置き換えると、次のようになります。 これは、回転のx成分(式5)を、別の慣性系から観察した式です。 (式9) ある物理現象が、2つの慣性系で同じ現象として観察されるためには、2つの式が比例していなくてはなりません。 式5と式9に、そのような関係があると仮定して、比例定数をkとすると、次の要求を満たす必要があります。 (式10) 最後の式から、k=γならば、式5と式9が比例することが分かります。 (式11) 静止系に磁場だけがある場合は、次のような式を書くことが出来ます。 (式12) (式13) 式13を見ると、静止系で磁場だけがある状態で、運動系では電場が発生しているのが分かります。 これは「磁場に対して運動している物体には、電場が作用する」ということです。 つまり、今までローレンツ力と言われていたものの正体は電気の力だったのです。 この力が相対性理論の効果でない理由は、前に書いたとおりです。 電磁場におけるローレンツ力のようなものが、重力場にも存在するのか? 電磁場と重力場の大きな違いは、電磁場は物体と相対速度を持つことが出来ますが、重力場は物体と相対速度を持つことが出来ないことです。 物体は、必ず重力場に対して静止しています。 光の速度が一定なのはそのためです。 つまり、”物体は、重力場の中を動くことが出来ない”ので、電磁場におけるローレンツ力のようなものは、重力場には存在しません。 物体が必ず重力場に対して静止しているのは、物体が3次元の構造を持っているのに対して、重力場が4次元の構造を持っていることが原因です。 それに対して、物体が電磁場と相対速度を持つことが出来るのは、共に3次元の構造を持っているためです。 ???説明が少しぶっきらぼうだったので補足します。 物体が電磁場の中を動き回るのは、物体が空気の中や水の中を動き回るのと同じで、奇妙なことではありません。 しかし重力場は別です。 かつて、光を伝える物質をエーテルと呼んで、いくつかの実験が行われましたが、その結果エーテルは存在せず、光は何も無い空間を一定の速度で走ると結論付けられ ました。 しかし、エーテルを4次元の構造を持つ物体(重力場)と考えると、エーテルの中を走る光の速度が常に一定でも矛盾は生じません。 間違いは、エーテルを3次元の物体と考えたことです。 |