生まれつきハードボイルドな男とは、
五十嵐純一は生まれついてのハードボイルドだった。通う幼稚園でクラスに怪しげな純一グループなるものをたった一人で入園と同時に作った。そして、クラスの物入れ棚脇にアジトを構えるため、1メートル角のレジャーシートを敷いた。そのアジトを拠点に、園の首領(ドン)に君臨するという野望を抱いた。やがて、日本国のドンになる。
「ふふふ、俺がドンだ」
意気揚々とクラスのみんなに向かって絶叫した。みんなはひそひそ話をして怖がった。そんな光景を見た園長先生は将来ただならぬ人間になるに違いないと危機感を感じた。そして、純一に言った。
「そのレジャーシート片付けなさいね。みんなが物をしまいにくいですから」
「はーい」
レジャーシートを持った純一は、偉大なる野望のため次の置き場を探すのであった。
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