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2001年4月〜6月までの国際情勢

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更新日:6月25日

米ロ首脳が会談

米ブッシュ大統領とロシアのプーチン大統領が首脳会談を行った。
初顔合わせとなった今回の会談での注目はやはりミサイル防衛問題。弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を冷戦の遺物とし、同条約の破棄を求めるブッシュ氏に対し、大国としての地位を維持するためにもロシアは同条約を破棄するわけにはいかず、話し合いは平行線をたどった。
唯一の超大国であるアメリカは、京都議定書の離脱に見るような一方的外交(ユニラテラリズム)に走る懸念があり、ロシアやEU諸国はこのような米国の行動に懸念を示している。

中国がセーフ・ガードに対して報復

日本政府が中国からの輸入品であるしいたけ、ねぎ、畳表に対して緊急輸入制限(セーフ・ガード)の処置を取ったことに対して、中国政府は報復処置として自動車、携帯・自動車電話、エアコンの3品目に対して100%の関税をかけると発表。
どのような形でこの3品目が選ばれたかは定かではないが、中国へのこれらの輸出はそれほど多くはなく、自動車に関して影響は出るようであるが、それほど大きな影響があることはなさそうである。
しかしながら、教科書問題などで日中関係がよくないだけに今後の関係修復がより一層困難を極めることは必死である。

更新日:6月17日

ブッシュ米大統領 vs EU首脳

京都議定書の離脱を表明し、新しいミサイル防衛システムの推進を進めるブッシュ米大統領がスウェーデンのイエーテボリでEU首脳と会談を行った。
EU首脳はブッシュ大統領のこれらの政策に非難を浴びせ、京都議定書にはアメリカ抜きでの批准も辞さない構えを見せている。
ミサイル防衛に対しても軍拡を招くとの疑念と、新しいミサイルの技術自体にも懐疑的で、今までにない米欧の関係悪化が懸念されている。

更新日:6月11日

ネパールの王宮乱射事件の真犯人は?

ネパールで1日に起こったビレンドラ国王殺害事件に対して、結婚を反対されたディペンドラ皇太子が結婚の反対に逆上して銃を乱射したとしているが、ネパールの国民は誰もこの見解を信じていない。
国王の家族が全員殺されているにも関わらず、新国王に就いたギャネンドラ国王は会合を欠席し、出席していた長男はかすり傷一つ無く、今回の事件はギャネンドラ新国王の陰謀に間違いないと誰もが信じているようだ。
首都カトマンズでは一部で暴動も起きており、今後も予断を許さない状況が続いている。

世界各国で選挙が行われる

6月4日にペルーで大統領選挙の決選投票が行われ、トレド氏がガルシア氏を破り、大統領に就任することが決まった。
反フジモリ運動を展開したトレド氏が約52%を獲得。今後は日本に滞在するフジモリ前大統領の身柄引渡しの要求を日本政府に要求してくるであろう。
一方、イランでは8日に同じく大統領選挙が行われ、現職のハタミ大統領が80%近い票を獲得し、見事に再選を果たした。
民主化を進め、若者の間ではアイドルのような人気すらあるハタミ大統領が信任されたわけであるが、アメリカの経済制裁はいまだに続いていて20%を越す失業率の改善などの当面は経済の改善に全力をあげる必要があるだろう。
さらに、イギリスで行われた総選挙では与党労働党が659議席中413議席を獲得し、解散前の417議席と変わらない議席数を獲得し圧勝。
戦前から勝負の見えていた今回の選挙だけに投票率は60%ほどと戦後の最低を更新してしまった。
労働党党首のブレア首相は労働党の100年の歴史の中で初めて2期目の政権を担うことになる。
破れた保守党は解散前の159議席から少し上積みして166議席としたものの前回に続き今回も完敗。ヘイグ党首は辞任を表明している。

更新日:6月2日

エストラダ氏に続いて今度はワヒド大統領が

フィリピンでエストラダ前大統領が弾劾裁判から、政権をおわれたのも記憶に新しいが、今度はインドネシアでワヒド大統領が弾劾裁判にかけられようとしている。
インドネシア国会の議員の8割はすでに野党となっており、大統領の辞任はすでに時間の問題とも言われているが、これに対しワヒド大統領は4閣僚を解任するなど政権延命を模索している。

更新日:5月27日

ダライ・ラマ、陳水扁両氏が相次いで訪米

米中軍用機の衝突以来緊張関係が続いている両国だが、ダライ・ラマ、陳水扁両氏が相次いで訪米しさらに米中関係の悪化が懸念されている。
中国が抱えるチベット、台湾問題に対して米国が今回のように両氏の訪問を認めたことに対して、江沢民中国国家主席はブッシュ氏は愚かであると痛烈に批判しているようだ。

更新日:5月21日

卵が投げられ大騒ぎ

5月16日に総選挙戦真っ盛りの英国で、労働党幹部のジョン・プレスコット副首相が北ウェールズの街で卵を顔面に投げつけられたため、卵を投げた男とケンカをするという一幕があった。
一方、17日にはポーランドを訪問中だったクリントン前大統領も卵を投げつけられたが、こちらは右ひじへの命中であったため、投げつけた少年がその場で取り押さえられるだけで事無きを得た。
前大統領は「若者が何かに怒るのは良いことだ」といたって冷静であったようだ。

イタリアで右派政権が誕生

イタリアで行われた総選挙で、事前の調査通り実業家で富豪のベルルスコーニ氏率いる中道右派連合の「自由の家」が過半数を獲得し新政権が発足する。
ベルルスコーニ氏はサッカーのACミランのオーナーでもあり、多くのテレビ局や出版社なども支配していて、メディアを通しての戦略が成功。中道左派連立与党の「オリーブの木」を破った。
しかし、中道右派連合の中には極右政党もあり、EUはこの新政権に対して警戒感を強めている。またベルルスコーニ氏本人にも多くの疑惑があり、新首相としての資質に問題があるとの見方も出ている。
実際に1994年に一度首相の座についている同氏はスキャンダルに巻き込まれ7ヶ月で退陣している。

ローマ法王が歴史的3ヶ国を巡礼

カトリックの法王として、ヨハネ・パウロ二世は80歳という高齢であるにもかかわらず、ギリシャ、シリアなどを歴訪。ギリシャでは東西キリスト教会が分裂して以来約1000年ぶりの法王の訪問になり、当方正教会への謝罪を表明。
一方、シリアではローマ法王としては初めてイスラム教のモスクを訪れ、シリアのイスラム教最高指導者と対話。お互いの宗教の和解と連帯を訴えた。

グローバル化反対のデモでメーデーは大荒れ

メーデーの5月1日ヨーロッパ各都市でメーデーのデモが行われたが、ロンドンをはじめとする都市部で反資本主義、グローバル化に反対する団体や、外国人労働者排斥などを訴えて一部では暴動が起こった。
昨年にもメーデーで同じような形で暴動が起こっていたため、今回は警備の強化などもあったのか昨年ほどの暴動にはいたっていないようだ。
ここのところ、グローバル化に反対する各団体や保護主義を掲げる労働者による暴動が頻繁に起こっているが、先進各国はこのような動きを抑えて早期に経済の自由化をめざいている。

更新日:4月29日

2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅が現実に。
28日アメリカ人の実業家デニス・チトー氏がカザフスタンからロシアのソユーズ宇宙船で国際ステーション(ISS)に向けて世界初の宇宙観光へ出かけた。
旅行代金は6泊8日で25億円! と破格の値段だが、チトー氏は意に介さぬようで、夢を実現できる喜びに溢れていた。
チトー氏は「宇宙から地球を見ながら、好きなビートルズやオペラを聴いて過ごす」と宇宙での滞在プランを述べている。
当初はミールに搭乗する予定だったが、ミール廃棄のためにISSの利用をロシアが提示、アメリカがこの案に反対したが損傷した場合は全てチトー氏が賠償することで今回の宇宙の旅が実現した。
ロシアは今後も宇宙の旅を受け入れる予定で、映画監督のジェームス・キャメロン監督が交渉中との情報も伝わっている。

エストラダ比前大統領が逮捕

25日フィリピンでエストラダ前大統領がついに逮捕された。
大統領在任時に41億ペソ(約100億円)を横領していたとして、逮捕されたエストラダ氏に有罪が確定すれば死刑か終身刑が言い渡される。
これに対し、エストラダ氏を支持する貧困層を中心とした支援者たちは、エストラダ氏の釈放を求め集結。一時は5万人を超える人がマニラに集まった。
フィリピンでは5月に中間選挙が行われるため、この出来事がアロヨ現政権にとってどのように左右されるかが注目されている。

米州サミットで「ケベック宣言」採択

カナダのケベック市で南北アメリカの34ヶ国の首脳が集まった米州首脳会議で、2005年までに米州自由貿易地域(FTAA)を実現させることを採択した。
現在の北米自由貿易協定(NAFTA)の拡大版となる構想のFTAAは、経済のグローバル化を目指すアメリカなどの先進国の強い主張によるもので、経済的に力のない途上国や、グローバル化に反対する非政府組織の反対を押し切った形での採択となった。
元レイジのザックなどは元々NAFTAにも否定的な態度を見せていただけに、今回の採択は彼らにとっても到底受け入れがたいものであろう。

更新日:4月14日

オランダで安楽死法が成立

大麻の使用や売春が認められ、つい最近同姓間の結婚が認められたオランダで4月10日に安楽死法が可決された。
地方レベルではアメリカのオレゴン州で合法化されているが、国家レベルで安楽死が認められたのは初めてになる。
この法案にはもちろんいくつかの厳しい条件がついていて、簡単には認められないが、自殺を助長するのではといった懸念もあり、当日は反対団体が抗議行動を起こした。
この法律は今秋から実施される。

更新日:4月8日

米中軍用機が衝突

1日に起こった米中軍用機の衝突で、中国側のパイロットが行方不明になり、米軍機が中国の海南島に緊急着陸。
機密情報を搭載した米軍機が中国側に渡ったことで、米側は乗員と機体の早期返還を要求。一方の中国側は今回の事故の責任は米側にあるとして、謝罪を要求した。
しかし、米側はこの事故の責任は中国側にあるとするなど、双方が強気の態度を見せたため、一時米中関係が悪化した。
しかし、米側が一応謝罪のような文章を盛り込む共同声明を発表することで、決着が着きそうである。

更新日:4月1日

ユーゴのミロシェビッチ前大統領を逮捕

1日、ユーゴスラビア連邦セルビア共和国のベオグラードで、自宅に立てこもっていたミロシェビッチ前大統領が不正蓄財などの罪で逮捕され、中央刑務所に収監された。
欧米諸国が求めていた前大統領の逮捕とオランダ・ハーグの国際法廷への身柄引き渡しに消極的だった現政権だが、3月いっぱいまでに前大統領の逮捕と身柄引渡しに応じない場合、米政府が経済援助を凍結する方針を決めていたために、今回の逮捕となった。
今後は逮捕された前大統領をオランダ・ハーグの国際法廷へ出頭させるかどうかか問題となってくるであろう。

米ブッシュ新政権が京都議定書を不履行宣言

1997年に京都で開かれた地球温暖化防止のための温室効果ガスの排出量削減に関する議定書に対して、28日ブッシュ新政権は効果自体に疑問を呈し、この「京都議定書」を履行する考えの無いことを明らかにした。
エネルギー関連の業界からの圧力がある共和党のこの決定に対し、環境団体からの圧力がある民主党は反発。環境問題に積極的なEU諸国も戸惑いの色を隠せない。
もともと積極的でなかった日本は、川口環境相が遺憾の意を一応は表明している。
CO2の排出量を見ても、35%を越える米国の離脱はこの議定書の後退を意味するだけではなく、環境問題全体に対しても大きく影響を与えるのは間違い無いだろう。

更新日:3月24日

ロシアの宇宙ステーション「ミール」が南太平洋に落下

ロシア航空宇宙局の発表によれば、ロシアの宇宙ステーション「ミール」は予定通りは23日午前8時59分(日本時間同日午後2時59分)、南太平洋上に落下。
計3度の逆噴射の後、大気圏に突入したミールは、日本の中国地方を通過して無事にその任務を終えた。
1986年に打ち上げられたミールは、15年という長い歳月の間に様々な実験を繰り返すも、老朽化が進み、今回廃棄されることになった。
万が一の事も考えて、ロシア政府は多額の保険金を掛けたが、無事に落下させることができ、元大国ロシアの面目を保つことができた。

更新日:3月16日

アフガニスタンのバーミヤン石窟が破壊される

アフガニスタンのイスラム原理主義組織タリバン政権は、偶像崇拝を見とめていないというイスラム教の教義に基づき、世界的にも貴重な文化遺産とされる高さ55メートルと38メートルの2つのバーミヤンの石仏遺跡を破壊。国際的な批判を浴びている。
タリバン政権がこのような「遺跡テロ」を起こした背景には、タリバン政権がテロを支援しているとされ、国際的に認知されず、ほぼ孤立状態に陥っているために及んだ行為だと考えられる。
バーミヤンの石仏遺跡の破壊は、経済制裁を加えられ、さらに大きな地震や度重なる干ばつで政権が八方塞の状態に陥ったためであり、宗教上の理由は取って付けたものにすぎない。
同じイスラム教を信仰する国々も、今回の破壊行為に対しては反対しているのだから。
今までにも、中国によるチベットの仏教寺院の破壊などこのような「遺跡テロ」は何度となく起きている。
このような行為に対して国際社会は、断固とした態度で対応してもらいたいものである。

日本の教科書問題が中韓にも飛び火

「新しい歴史教科書をつくる会」が主導して作成した新しい教科書が、問題になっている。
今までの日本の歴史教科書は自虐的すぎるとして、近現代史の部分を大幅に変更。内容が太平洋戦争や日本のアジア侵略を正当化するような内容になっていることから、かなりの部分に対して修正が入り、検定に合格する見通しとなった。
しかし、この問題に対し戦時中の当事者である中国と韓国が日本政府に対して抗議。とりわけ中国は朱鎔基首相が記者会見で「修正は不十分であり、歴史の事実を歪曲することは中国人やアジア人の感情を傷つける」と述べ、歴史認識に対する中国の敏感さを表した。


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