分光観測

ここでは天体の分光観測を紹介します。
天体の光を分光観測することで、次のようなことがわかります。

1、構成物質
2、温度・圧力
3、天体の速度
4、星間物質の存在
などなど

ですから、実際のその場にいけないわれわれにとって分光観測はパワフルな観測手段であります。
しかし機材が複雑な上に、望遠鏡同様高価でもあるため、あまりアマチュアの中では使われません。プリズムと銀塩フィルムによる写真も見うけられますが、定量観測するには程遠いものです。
ここでは簡単で安価な分光光学系を使って、比較的観測として楽しめる観測例を紹介します。

観測対象はまずは明るい天体がいいでしょう。CCDの感度のキャリブレーションが必要なのですが、それを行わなくても比較的楽しめる天体を選びます。
黒体放射は連続的にスペクトルを発してるので、CCDの感度がもろに効いてきます。ですから、輝線で光っている天体、つまり、星雲を観測対象に選びましょう。一番明るい星雲のひとつがM42です。良く研究されていて新しい発見などは期待できませんが、手始めとして絶好の対象物です。

まずは観測結果を見ましょう。

緑:街灯スペクトル 青:オリオン星雲スペクトル
ST-4を使った分光装置による観測例

観測場所が東京の調布だったので、もちろん光害がはいっていることは容易に想像できます。従って、街灯のスペクトルも一緒にのせることにしました。
感度のキャリブレーションを行っていないので、相対強度の比較はまだできませんが、なるほどこのような発光をしているのかということがわかります。

分光観測の楽しみはたくさんあります。その中でももっとも興味ある観測は宇宙の広がりを観測することだと思います。遠い天体ほど速い速度で遠ざかっているので、遠い天体ほどドップラーシフト、つまり、レッドシフトを起こしています。いまの分光装置では低分散なので、M天体程度の銀河ではレッドシフト観測は不可能です。もっともっと遠い天体を選ぶ必要があります。
では何が適してるのでしょう?それはクエーサです。クエーサは非常に遠い天体であるため、かなりのレッドシフトを起こしています。わたしの分光装置でも観測可能なほどです。問題は強度です。一番明るい天体でも12等級と非常にくらいです。世界初のアマチュアレッドシフト観測者を狙っていたのですが、イギリスのアマチュアに先を越されました。まあ趣味ですから楽しんでみたいと思っています。
近いうちに20cm鏡が入るので、期待できます。


1999,5,25

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