固定撮影式ピントだし


 ピントだしを難しくしている第一の要因は、目標値が不明確なことにあります。 シーイングの良いとき悪いときに応じて星の大きさは変わってきます。 またフィルタがあるなしによっても星の大きさが変わってくるため、ベストピントを捕まえていたにもかかわらず、もっとシャープになるはずだと思いピント位置を逃した経験をした方は多いでしょう。

 そこでまずベスト星像をつくり、それを目標値にしてピントを追い込むことにします。
 モータドライブをとめ、固定撮影します。 露出時間を10秒くらいにセットし、その間デフォーカスを行います。 星の軌跡は太い>細い>太いとなり、一番細い部分がベストフォーカスということなります。 これが目標の細さです。

 
固定撮影中にデフォーカスを行う


 次に、つまみを固定し固定撮影します。 星の軌跡が目標値にちかづくまでつまみをこまめに回しながらこの作業を続けます。

フォーカスの違う星の軌跡


つまみを回す最小回転角は平均5度です。(わたしは4.5度)これはちょうどシュミカセ+0.63xレデューサ+9ミクロン画素の焦点深度に匹敵します。1ステップ動かしたら1焦点深度移動したと考えると良いでしょう。 フィルタなしのシュミカセ+レデューサでは収差が大きいので実際の焦点深度は2倍以上深くなります。

映像を見ていくと緑で囲った星の軌跡が目標値に一番近いことから、そこがベストフォーカス位置だと決定できます。 ソフトウェアで測定した軌跡幅も最小でした。 ちなみにこの軌跡のことを線像強度分布(LineSpreadFunction)といいます。

この方法はシュミカセのようにフォーカス用のつまみがある望遠鏡で有効でしょう。 目盛りのついていないタイプの望遠鏡では目視で追い込むしか方法がありませんので、目標値を決め、それと比較しながら追い込むしか方法はありません。
マスクをつかったピントだしでも同様にピントを出すことができます。

撮影データ:
8インチシュミットカセグレイン+0.63xレデューサ
フィルタなし
Apogee AP2Ep 1x1(ビニングなし)
露出8秒


2001,6,15

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