【観測内容】 都会では街明かりが空を明るく照らすため数えるくらいの星しか見ることができない。 かといって街灯がなければ安心して夜道を歩くこともできないので、星を見るためだけに 街灯をなくそうというのは無理な話である。 夜空の光が街明かりの反射であることを確かめるには、街灯すべてのスイッチをオンオフ しながら空の様子を観察すればすぐわかることだが、そんなスイッチはどこにもないし、 仮にあったとしてもそのスイッチを触るだけの権限もないので、他の方法を使わざるを得ない。 光の成分を調べるには分光という手法があり、光をプリズムや回折格子に通すと各波長での 強度比がすぐにわかる。 直接触ることなく遠くの光を観測できるので、とても有効な手段である。 分光器を作るにはある程度高度な知識が必要であるが、ここでは割愛して夜空を分光した結果(スペクトルという)を 見てもらおう。 特定の波長にだけ強いラインが見えているのがわかり、これはそれぞれの原子が 発する光に応じて波長が違うことを表している。 部屋の中や電柱についている明かりを分光 するとわかるが、この夜空のスペクトルは人口の明かりが発する波長と完全に一致するので、 夜空は街灯からの光が反射して光っていることがわかる。 星空が見えないと都会の明かりに対し苛立ちを覚えることもあるが、こうやって自分で観測すると 「なるほど、こうなってるんだ」と現象を理解することができ冷静の現状を納得することが できる。 きれいな星空を見るには砂漠のど真ん中に行くか、標高の高い山頂に登るか、どちらにしても 苛酷な環境に行かなければならない。 実際の宇宙はそれら以上に厳しい世界であるから、 夜空が明るいということは快適な環境であることの証しでもあるだろう。 【観測機器】 SBIG STL-11000XM Rainbow Optics 製 透過型回折格子 PENTAX 135mmF3.5レンズ 【観測結果】 ![]() TOP |