ブレーズ化
回折格子の回折効率を上げるために、回折面を屋根型にします。 これをブレーズ化するといいます。 なぜ屋根型にするのでしょうか?
まずは普通の回折格子をもう一度見てみましょう。
回折させて強めあわせるための条件は、隣の溝から出てきた光と波長の整数倍であることが条件です。 波長の1倍であれば、1次の光といいます。 ここでは1次の光にしておきましょう。
図をみると、隣から出てきた光が1波長分だけずれていることがわかります。 ということはこの2つの光は強め合ってある方向へ飛んでいくことがわかります。
回折格子の様子。1波長ずれているのがわかる
ではその2本の途中の光はどうなるのでしょうか? どこかへ行ってしまいます。 これでは100本入ってきた光が100本同じ方向へ行かないので、回折効率が下がってしまいます。
そこで考えられたのが、途中の光も同じ方向へ飛ばすための屋根型です。 もう一度思い出すと、波長の整数倍になっている光は全て同じ方向へ飛んでいきます。
図を見てみましょう。
屋根型にした回折格子
まず1と3の光線を見てみましょう。 1と3が1波長だけずれるためには、aとcの差が1波長であればいいのです。 これによりブレーズ化するための深さが決まってきます。
次に1と2で考えてみましょう。 1と2の光路の違いは、a と b1+b2 だけになります。 この差が1波長になれば2の光線も同じ方向へ飛んできます。 したがって、1−3間で2が波長の長さだけの違いになるようにガラスの形状を作ってあげればいいのです。 それが屋根型です。 これは簡単な連立1次方程式で解けるものです。これによって1-3間に入ったある波長の光は全て同じ方向へ飛んでいきます。
なぜ回折効率が落ちるのか?
いまブレーズ化するために深さを決めました。 これはある波長に対してだけです。 他の波長では深さの光学的距離が波長と一致しません。 波長400nmで深さを決めたとしましょう。 600nmの波長は1.5倍ですが、深さは1.5倍もずれません。 ですから強めあう条件にはずれるために回折効率が落ちてしまいます。
波長と光学的厚みの関係
例えば図のように、ガラスを青い光にガラスの厚みを揃えたとします。 赤い波長ではガラスの光学的厚みが薄くなりますが、波長自体は長くなります。 これでは一致しません。
11,13,2000
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