思い出のシネマ

ライフ・イズ・ビューティフル
監督 ロベルト・ベニーニ
出演 ロベルト・ベニーニ  ニコレッタ・ブラスキ
 第二次世界大戦を迎えるイタリアが舞台。ナチスの台頭の中でのユダヤ人の迫害、強制収容所への連行という過酷な状況の中で、家族を愛し、守り続けた主人公の姿を笑いと涙で描いている。強制収容所で、隠れている息子の前を銃を突きつけられて連行される主人公が息子に心配させないように、笑顔で腕を大きく振りながらコミカルに歩いていく様子が涙を誘う。題名どおり人生は素晴らしいということを高らかに謳いあげた作品。ロベルト・ベニーニはこの作品の演技でアカデミー主演男優賞を受賞した。
ランボー
監督  テッド・コチェフ
出演  シルベスター・スタローン  リチャード・クレンナ  ブライアン・デネヒー
ヴェトナム戦争から復員してきたランボー。命をかけて祖国のために戦ったのにもかかわらず、帰ってきた彼を迎えたのは住民の冷たい視線でした。戦友を訪ねたが、彼は戦争の後遺症で精神を病んでしまっていた。警察は彼を不審者として屈辱的な扱いをします。それに対し、ランボーはヴェトナムの戦場で会得した経験を武器に反撃に出ます。ランボーの反撃に州軍まで動員されての戦いとなります。
 戦争から戻って、社会にうまく対応できず、時には精神まで病んでしまうというのは、話に聞きます。それほど、戦争体験というものは人の心を蝕むものなのでしょう。復員兵たちにとっては、別に好きでヴェトナムで戦ったわけではないのに国家は何もしてくれないという不満がくすぶります。それを代弁する「祖国のために命をかけたのに、祖国は何もしてくれない」というランボーの叫びが心に響きます。
 それにしても、ランボーがあまりに超人的です。
ランボー 怒りの脱出
監督  ジョージ・P・コスマトス
出演  シルベスター・スタローン  リチャード・クレンナ  ジュリー・ニクソン
     チャールズ・ネピア  スティーブン・バーコフ
 今回、ランボーは元上官トラウトマン大佐の依頼で、ヴェトナムで行方不明となっている兵士が捕虜になっているという情報を得て、その調査にヴェトナムに向かいます。
 前作のようなメッセージというものがあるわけではなく、ただ、ヴェトナムとソ連を悪者にして、ひたすら敵をなぎ倒していきます。もう完全にスタローンのキン肉マンぶりを見せる映画です。と書くと、たいした映画ではないと批判しているようですが、実は公開当時2回も見に行ってしまいました。孤独なランボーと協力者のヴェトナム人女性とのふれあい、そして、その女性の死を目にして、戦いの炎を燃やすランボーを見るとグッと胸に来るものがありました。
 アメリカ万歳の好戦的映画のようですが、ランボーたちを見捨てる司令官も登場させて、そこはバランスをとっていると言えるでしょうか。
レインマン
監督 バリー・レビンソン
出演 ダスティン・ホフマン  トム・クルーズ
 父の遺産の受取人が兄だと知ったチャーリーは、自閉症の兄を病院から連れ出しロスへと向かう。再開した兄弟のl心の交流を描いた感動のロード・ムービーである。自閉症で記憶力抜群の兄を演じたホフマンは、実際に自閉症の患者と過ごしたり、専門家に話を聞くなど1年に及ぶ役作りをし、その演技は絶賛されたが、その結果が2度目のアカデミー賞受賞となった。そのほかアカデミー作品賞、監督賞、脚本賞を獲得するなど後世に残る映画となった。とにかく、ダスティン・ホフマンのあの演技を見るだけでもこの映画を見る価値はある。また、ホフマンの影に隠れてしまったが、弟役を演じたトム・クルーズもいい味を出していたと思う。
レオン
監督  リュック・ベンソン
出演  ジャン・レノ  ナタリー・ポートマン  ゲイリー・オールドマン
     ダニー・アイエロ
 「ニキータ」のリュック・ベンソンがニューヨークを舞台に殺し屋と少女との恋ともいえないような心のふれあいと、二人の戦いを描いた映画です。
 ゲイリー・オールドマン演じる麻薬捜査官によって家族を皆殺しにされたマチルダは、同じアパートに住む凄腕の殺し屋レオンによって助けられます。家族の復讐を誓ったマチルダは、レオンについて射撃の腕を磨きます。
 ジャン・レノが最高ですね。朴訥で鉢植えの植物を大切に育てている中年のおじさんが、ひとたび拳銃を持たせれば、顔色変えずに殺しを行うというよくある殺し屋のパターンですが、そんな殺し屋にジャン・レノがとてもよく似合っています。
 ナタリー・ポートマンも12歳とは思えない演技力です。
 ゲイリー・オールドマンのキレまくった麻薬捜査官も印象的です。この映画で初めて彼を知ったのですが、その後もゲイリー・オールドマンといえば、僕にとってはどこか一本ネジがゆるんだ人という印象です。
 公開当時、わずか50人ほどしか入れないような小さなスクリーンの映画館で見ました。入場者は僕のほかは20代の女性だけという寂しい限りでした。こんなに素晴らしい映画でしたのに。オススメです。
ロード・トゥ・パーディション
監督 サム・メンデス 
出演 トム・ハンクス  ポール・ニューマン  ジュード・ロウ
 2002年に僕が見た映画のベスト1とも言っていい映画である。話は30年代のアメリカ。よき夫でもあり2人の子供の父親でもあるマイケルにはマフィアの幹部という裏の顔があった。ポール・ニューマン扮するマフィアのボスは、彼を息子のように愛していたが、ボスの息子コナーはそれを苦々しく思っていた。ある日、父からミスを責められたコナーはサリヴァンへの憎悪を膨らませ、彼の妻と次男を殺してしまう。生き残った長男を連れマイケルは復讐の旅に出るが、彼らを暗殺者が追う・・・。日本の子連れ狼をモデルにしたとされる映画である。主人公を演じるトム・ハンクスがいつもの温厚な役と違って、息子を守ろうとする強い父親役を演じている。息子と見に行ったせいもあって、主人公を自分自身に投影して感動してしまった。ハゲ頭にまでして熱演したジュード・ロウもいい。ポール・ニューマンはさすがに年をとったなあ。