ふたりだけの荒野
ヴィレッジブックス (ソニーマガジンズ)林啓恵訳
ストーリー
舞台は19世紀のアメリカ西部。
ある殺人事件のせいでお尋ね者となり、厳しい逃亡生活を続ける
レイフ・マッケイが今作のヒーローです。
ヒロインはゴールドラッシュにわく新興地シルバーメサで、たった一人で
開業医として診療に取り組む優秀な女医アニー・パーカー。
物語は負傷したレイフが賞金稼ぎから追跡を受け、治療を受けながら
逃亡生活を続けるために、アニーに同行を頼むところから始まります。
でも実際には銃で脅してのことですから、これは立派な誘拐ですよね。
当初はアウトローにいつ殺されるか乱暴されるかと怯えていたものの、
レイフの人間性にふれて徐々に気持ちが変わっていくアニー。
危険な逃避行の中で、2人が真の信頼や愛情を見つけていく、
ウエスタン三部作のひとつです。
みどころ&感想
読後最初に感じたこの作品の特徴は、登場人物の少なさ。
終盤近くになってレイフの過去に関係する人物が数人出てきますが、
前半はちらちら出てくる追っ手の他はほとんど二人っきり。
「ふたりだけの荒野」とは、まーよくつけたもんだ(笑)。
ちなみに原題は 「THE TOUCH OF FIRE」だそうで、アニーの手が持つ
特殊能力にからめて「炎の手ざわり」とかそんな雰囲気なのかな。
単なる逃避行ものではなく、「癒しの手」 が力を発揮する場面と
特殊さをいち早く理解して、彼女を守ろうとするレイフの
行動が一番のみどころではないでしょうか。
しかし、当時の旅は大変だったんですね〜。 洋服や髪や肌がいつも
埃だらけになったりしわくちゃになったりと非衛生きわまりない様子に、
読んでる方もあちこちムズムズしそう☆
それに下着ひとつとっても、ズロースとかシュミーズだなんて、
あーおばあちゃんが言ってたよ的なクラシックな表現が沢山出てきて、
そんなところも味わい深いです(しみじみ)。
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リンダ・ハワード作品ピックアップ&あくまで私的な感想 Page 4
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