第121夜 「きこりの与作」、鳥の○○くらいで負けるんじゃねえ!
参考リンク・「きこりの与作」のゲーム画面や遊び方など(from CLASSIC VIDEOGAME STATION ODYSSEY)
「カセットビジョン」がはじめて世に出たとき、僕はまだ小学校高学年くらいだったのですが、率直な感想としては、「うーん、カセットを替えればいろんなゲームができるのはいいけど、やっぱり画面はカクカクだなあ…」というものでした。やっぱり当時のリアルタイムの感覚としても「カセットビジョンは家でいろんなゲームが遊べるのはすごいけど、絵はイマイチ」という感じだったんですよね。
本当は、グラフィックが圧倒的に綺麗な「ぴゅう太」(トミー)が欲しかったのですが、あの6万円とかいう値段は、親にねだるにも高額すぎるな…と察知できましたし。
そもそも、あの「ファミリーコンピューター」が世に出るまでは、「テレビゲームが家にある」というだけで、溜まり場になったくらいです。
そして、このカセットビジョン史上に残る名作「きこりの与作」なのですが、ゲームは至ってシンプル。画面上に立っている二本の大木を主人公・与作が切り倒していくのです。二本切り倒すとステージクリア。しかし、このゲームでは、一本の木の根元の左右それぞれにある、木の「切れる場所」がかなりシビアで、ちょっと位置がずれると切れなくなりますし、当然、一筋縄で木を切らせてもくれません。敵として、イノシシ、ヘビ、鳥の糞、木の枝があるのです。なかでも、イノシシは「きこりの与作名物」ともいえる当時としては超有名敵キャラで、画面の端から、猛然と与作めがけて突っ込んできます。当たればもちろん即死。ジャンプでよけることも可能なのですが、タイミングはかなりシビアで、多くの場合斧で立ち向かうことになります。
しかしながら、この「斧でイノシシを倒せるタイミング」は、実際のところけっこうシビア。感覚的に一番効果的な感じがする、イノシシの体に上から斧を振り下ろすような感じだと、イノシシには効かず、哀れ与作は安っぽい(当時のサウンド能力なので)「葬送行進曲」に送られて天使になってしまいます。イノシシを倒すには、イノシシの前で早めに斧を振り下ろして、その斧が上に戻ってくるくらいのタイミングでイノシシにヒットしなければなりません。これに慣れるまで、何人の与作が殉職したことか!そして、このイノシシ、ステージが進むと、信じられないくらい超高速化して、ワープイノシシみたいになってしまうのです。昔のゲームは、面が進むと、単にただひたすらスピードが速くなるだけ、だったものなあ。
与作はヘビに咬まれても即死しますし、空から降ってくる鳥の糞に当たると一定時間体が痺れて動けなくなってしまうのです。気持ちはわかるが、糞まみれになっても動けなくなることはないだろ!と何度悪態をついたことか。ちょうどその痺れているタイミングに合わせて、高速イノシシが突進してくるんですよね、また。
オープニングの「ヘイヘイホー、ヘイヘイホー」という音楽も印象的でしたし、与作が死んだときの「天使になって空に上っていく映像と葬送行進曲」は、最初に観たときから同級生たちにも大受けでした。そう考えると、シンプルなりにものすごくエンターテインメント性に富んだゲームだったんですね、きっと。あのころは、「やっぱり与作カクカクだなあ…」なんてバカにしててゴメンよ。