第91夜 当時はハマッた…と言いたいところだけれど「倉庫番」
このゲームが発売されたのは、まだ日本で「ゲーム」というのが珍しかったころの話。
あの国産パソコンRPGのパイオニア「ザ・ブラックオニキス」の紹介記事が
同じ雑誌に載っていたような記憶がありますから、もう20年近く前の話です。
このゲームは、倉庫の中に並んだ荷物を、主人公の「バイト君」が
倉庫の決められた位置に並べ替えるのが目的なのですが、
ルールとしては、「荷物は前から押すことはできるが、引っ張ることはできない」
本当に、ただこれだけなのです。
当時は、それでも「最新技術を使った、凄いゲーム!」
と誰もが思った…なんてことはなく、やっぱり20年前でも、
「アイディアは立派だけど、たいした技術じゃないな」という印象でした。
そのころのパソコンゲームって、とにかく「より綺麗なグラフィックを!」
というのがユーザーのニーズでしたから(そのために、「画面写真だけは凄いゲーム」が濫発)、
「倉庫番」の見た目の印象は、あんまり良くありませんでした。
「こんなの、ボードゲームでもできるよ」って。
できなくもないけれど、実際に紙でやったらすごく面倒くさくて、
いかにもパソコン向き、なんですけどね、本当は。
しかし、このゲームには泣かされました。
いわゆる「詰め将棋」のような感じで、時間制限があったり、
途中で敵に襲われることはないのですが、一マス分荷物を押しすぎてしまったために、
それまでクリアのために地道に積み上げてきた努力が無に帰してしまうのです。
ヘタすると、1面クリアするのに1日(もしくは、もっと長く)かかることも…
昔は、「ウィザードリィ」のキャラクターのレベルを1つ上げるために
3ヶ月ゲームをやり続けた堀井(雄二、「ドラゴンクエスト」のシナリオ担当で有名)さん
のように、ゲーマーたちはとにかくヒマというか、
寝食を忘れてゲームをやってたんですよね。
ちなみに、倉庫番には、エディット機能もあって、自分で面を作れるのです。
でも、この時期のゲームのエディット機能って、一部のマニア以外には、
「バカ」とかいう形に荷物を並べてみるとか、
そんな遊び方にしか利用してなかったなあ…
ほんとうは、僕はあんまり遊んでないんですよね、「倉庫番」って。
何面かクリアした時点で、あまりの難しさと面倒くささにリタイア。
このゲームにハマっている人って、みんな頭よさそうだった。
それでも、このゲームは日本のパズルゲームのパイオニアであり、
ゲームは見かけだけじゃないのを証明したことに、疑いの余地はないのですが。