第110夜 違う意味でハードかもしれない「ハードドライビング」


 ちょうど、体感ゲーム全盛期の時代。
 筐体が傾く「アウトラン」、筐体が回る「WEC・ルマン」(コナミ)などとほぼ同時期に、
アメリカからやってきた一風変わったレースゲーム、(いや、ドライビングゲームか…)
がありました。
 それが、「ハード・ドライビング」。

 筐体は動かないし、グラフィックはカクカクだし、スピード感も今ひとつ。
 演出という点では、時代の波に乗り遅れまくっていたこのゲームなのですが、
他のゲームに比べて、特筆すべき特徴がありました。
 それは「リアルである」ということ。

 どういう点がリアルかというと、まず、クラッチがついてたんですよね、これ。
 当時のレースゲーム(ドライビングゲーム)といえば、
オートマかシフトチェンジがあるものでもLowとHighの2種類。
 5速まであるレースゲームもありましたが、さすがにクラッチまではついてませんでした。
 しかも、この「ハードドライビング」アメリカ仕様のためか、
クラッチやアクセル・ブレーキのペダルがやたらと重く、
たいがいの日本人にとっては激烈に疲れたものでした。

 それでも、実車の運転感覚に近い、ということで、けっこう人気があったのです。
 僕も運転免許を取った今となっては、本物の車に乗ったほうがいいなあ、
という感じなんですけどね。
 続編も作られたのですが、宙返りコースなんかもできて、
リアルなんだかどうだか、よくわからなくなっていましたが。

 そうそう、アタリのゲームといえば、タイトル画面に
「コイン いっこ いれる」と日本語で表示されるものがありました。
 あれは、日本語なのになんだか不思議な感じだったなあ。

 ちなみに日本のゲームはたいがい“Insert coins”だったのですが、
アメリカ人に言わせると、この英語は間違っていて“Put your Coin”
のほうが一般的なのでは、と聞いたことがあります。

 ひょっとしたら、日本のゲームの英語表記も海外では
「コイン いっこ いれる」というような、怪しげな英語だと思われていたのかも。