第155夜 FFブランドは、長すぎる迷宮とともに「ファイナルファンタジー3」
参考リンク:ファイナルファンタジーV(Wikipedia)
「ファイナルファンタジー」シリーズは、まさに歴史的な大ヒットシリーズなのですが、正直、「1」はそんなに目立った作品ではなかったし(しかも、一人分しかセーブができなかった)、「2」は、ものすごく話題にもなり、売れに売れたのですが、その評価には微妙なものがありました。「実際に魔法を使わないと上がらない経験値システム」とか、ものすごく野心的な試みでもあり、「面白そう!」だったのですけど、味方同士で殴りあわないと、なかなかレベルアップできない、などという超絶難易度調整がなされており、途中で挫折したプレイヤーも多かったのです。少なくとも、「1」「2」の時点では、「話題性」はさておき、「実力」では、ドラゴンクエスト>>>ファイナルファンタジー、だったような記憶があります。
この「ファイナルファンタジー3」は、1990年4月27日発売。そういえば、大学時代に一人暮らしだったのをいいことに、それこそ新学期早々に寝食も忘れてやりこんでいた記憶があります。スーパーファミコンの発売が1990年11月でしたから、まさに「ファミコンの最後を飾る超大作RPG」だったのです。でも、当時のことを思い出してみると、僕を含めたゲーマーたちはみんな、「うーん、でも、『ファイナルファンタジー』だしなあ…カッコいい設定とグラフィックだけで、中身は死ぬほどめんどくさいクソゲーなのでは…」というような危機感を、この「3」に対して抱いていました。コンスタントに期待にこたえてくれる「ドラゴンクエスト」に対して、「ファイナルファンタジー」シリーズは、人気先行型、というイメージ。それに、みんなの目が次世代ハード、「スーパーファミコン」に向いていたのも事実でしたし。
ところが、この「ファイナルファンタジー3」は、本当に良質のRPGでした。ド派手ではないけれど、テンポが良く、強くなったことが実感できる戦闘のグラフィックや、完成度が高まった「ジョブチェンジ」のシステム(そういえば、「カエル」とか「小人」とかにもなってしまったよなあ)。実は一番最初のキャラクターの状態である「たまねぎ剣士」が、最強キャラになる、なんていう裏ワザ(?)も記憶に残っています。「召喚魔法」がはじめて採用されたのもこの作品でした。この「3」くらいでは、のちに僕を閉口させる長ったらしい召喚ムービーなどもなく、凄くバランスが良かったような記憶もあります。
そして、「ファイナルファンタジー3」といえば、なんといっても、あの長いラストダンジョン。もうすぐエンディングという夜、僕は気合を入れて、「今夜こそ、FF3を終わらせるぞ!」とばかりにラストダンジョンに出発しました。しかし、エンディングは遠かった…おまけにもうすぐラスボス!というところで、3回か4回くらいはやられたのです。途中にセーブポイントがないので、やられてしまうと経験値すら、そこまでの努力が無になってしまいます。結局、僕はその日、一睡もせず、そのうえゲームもクリアできずに、大学に講義を受けに行きました。当然、教室で「テント」を使うことになってしまいましたが……
結局、実はこの「ファイナルファンタジー3」こそが、「ファイナルファンタジー」のブランドを確立したゲームなのだと思います。そして、もともと素晴らしかったグラフィックとサウンドが、スーパーファミコンの「4」でさらに昇華され、「ファイナルファンタジー」シリーズは、日本を代表するRPGシリーズとなっていったのです。しかし、こんなに良質のゲームなのに、記憶に残っているのは「ラストダンジョン長すぎ!」とかいうことくらいなのだから、ゲーマーというのは、つくづく「辛いことばかり覚えている」人種なのかもしれませんね。