第181夜 手塚治虫オールスターキャスト!『ブラックジャック 火の鳥編』


公式サイト:『ブラックジャック 火の鳥編』


 タイトルに『ブラックジャック』『火の鳥』という、あの手塚治虫先生の2大作品が並んでいて、「いったいこれ、どんなゲームになるんだ?」と思っていたのですが、実際に遊んでみるといわゆる「リズムアクションゲーム」の亜種でした。全体的なストーリーとしては、ブラックジャックがさまざまな難手術を成功させることによって、隠された大きな「秘密」が浮き彫りにされていくようになっています。患者として登場してくるのは、もともとの『ブラックジャック』の登場人物の他にも鉄腕アトムや百鬼丸といったメジャーどころから、ドン・ドラキュラ、ビッグXなど、ちょっとマニアックなところまで、とにかくいろんな手塚キャラクターが、原作での設定に比較的忠実な形で「友情出演」しています。

 実際のゲームそのものは、マンガの「コマ割り」を再現したデジタルコミックのように進んでいって、ところどころに手術シーンが挿入されます。手術シーンは、タッチパネルのあちこちに表示されるマークをペンでタイミングを合わせてなぞるのと、「集中治療パート」という、ペンで画面を連打して膿を吸い出すとか、間違い探しをするなどのパートに大きく2つに分かれます。まあ、基本的にそんなに難しくはないのですが、ゲームの後半では、「Aランクを出せ!」とか「パーフェクトを達成しろ!」なんていう嫌がらせのような指令が出てきて、かなり泣きそうになりました。タッチペンを握る手は汗びっしょり。クリアするのはそんなに難しくなくても、パーフェクトとなると、よっぽど慣れないとムリなものもあるんですよね。とくに本間先生の「カルテ見直し」は本当に辛かった……悔しいときには本当に投げつけてしまえるサイズのDSだけに、その衝動を抑えるのは大変でした。今DS壊れたら、なかなか買えないからなあ。

 ところで、この作品、手塚作品の有名キャラクターがほぼ総登場&『ブラックジャック』の有名なセリフのオンパレードと、手塚ファンには非常に魅力的な作品なのですが、その一方で、『ブラックジャック』の復讐劇の「意味」が変えられていたり、最後はやたらと話が大きくなって「なんだこの荒唐無稽なストーリーは……」と半分呆れたりもしたんですよね。『火の鳥』を出演させるとこういうストーリーになってしまわざるをえないのかもしれませんが、『ブラックジャック』のファンとしては、「まあ、これはあくまでも『お祭り』みたいなものだから」と自分に言い聞かせないといけませんでした。

 でも、「遊べるデジタルコミック」としては、かなりデキがいい作品ですし、10時間くらいで終われますので、大人の手塚ファン(そして、多少のムリなストーリー展開は笑って受け入れられる人)には、ぜひ遊んでみていただきたいゲームです。