企画名 :『ショートケーキ戦争』
台本著者:坂之上・聖
登場人数:7人
台詞数 :160


【募集キャラ】

 浅野 猛    
あさの たける
 高校2年。日々バイトと想いに明け暮れる働き者、苦労人属性の少年。
 彼自身は多少突っ込み属性があるぐらいで普通だが、周りの人のせいでいつも騒ぎの中心に居る。

 浅野 加奈    
あさの かな
 中学1年。空手部の期待のエース、常に行動派の元気な少女。猛の家に居候している従妹。
 猛を兄貴と慕いつつ、おもちゃにしている。自称は"ウチ"だが関西訛りではない。

 赤羽 燕    
あかはね つばめ
 高校3年。猛の想い人であり、面倒見の良い先輩である。常におっとりマッタリしているが、しっかり者。

 毛盛 茂道
けもう しげみち 
高校2年。猛の友人、基本的にいい奴だが、友情より金を取る男。

 店員
 喫茶店の店員

 お父さん    
 気が小さく、要領が悪く、家でも会社でも立場が低いちょっとダメな父親。だが、酒を飲むとうっとうしくなる。

 ナレーター    
 途中に入るナレーションを読み上げてもらいます。


『補足―名前だけ登場する人々―』
浅野卓(あさのすぐる):猛の弟、かなりの悪戯好き。今回加奈を猛にけしかけたのもこいつ。



―――――――――――― 本文 ――――――――――――

   『ショートケーキ戦争』


001猛   「ヤバイ、俺緊張してきた……」
002茂道 「今更怖気付くな、少年。それさえ渡せればお前は人生の勝ち組だ、そして独身男の永遠の敵となる。覚悟は…… とうに出来ているんだろう?」
003猛   「ふん、行かないとは言ってないだろ? 当たって砕けてやるさ!」
004茂道 「破片ぐらいは拾ってやる、行ってこい!」

SE:    (コッ、コッ ……とゆっくりと歩く音。)

005猛   「あ、あのっ、燕さん! ちょっといいですか!」
006燕   「あら、猛君? どうしたの? 文化祭の片付けはもう終ったわよ」
007猛   「あの、その文化祭なんですがっ。打ち上げってことで実行委のみんなで今度映画でも見に行きませんか? みんなといっても俺と茂道の3人な訳ですけど」
008燕   「映画? うーん、どうしようかな」
009猛   「丁度バイトで貰ったチケットがあるんですよ。えっと、もしかして映画はお嫌いでした?」
010燕   「そんなことないわよ。うん、分かった。受験前に少しぐらい羽を伸ばしてもいいよね。いつ行くの?」
011猛   「え? あ、ああはいっ! 再来週の日曜日とかどうでしょうか!」(えっ、マジ、上手くいった!? という感じでちょっと呆然してから言葉をつなげる感じ)
012燕   「おっけー、その日なら大丈夫。楽しみにしてるわね」
013猛   「はい、俺もっす!!」(人生の頂点を味わってるような感じに)


ナレーター  「そして、時間はあっという間に過ぎていき……」    


014茂道 「いよいよ明日がXデーか。頑張れよ猛」
015猛   「おう。お前も、分かってるだろうな」
016茂道 「当然だ、残念なことに明日俺は風邪をひく、それでいいんだろう?」
017猛   「ああ。悪いな、こんなことにつき合わせて」
018茂道 「気にするな。しかしお前も慎重だな、3つもチケットを買う必要はなかったのではないか? 何しろ俺は行けなくなる予定なのだ、2つ買えば済むことだろう」
019猛   「実際チケットを見せた方が説得力がでるだろ? 安いもんさ」
020茂道 「貧乏性のお前がな…… 愛とは恐ろしいものだ。さて、じゃあ俺はここまでだ。健闘を祈る」
021猛   「おう、じゃあな! 明日の吉報を楽しみにしてろよ!」
022茂道 「ふっ、ウチは葬儀屋だ、訃報も受け付けるぞ」

SE: (歩き去っていく音)

023猛   「ったく。……さぁて、明日はデートだ! 今度こそ振り向かせて見せるぜ燕さん! たらったら〜ん♪」(苦笑すしてから、後半は能天気に浮かれてる感じに。相当嬉しそう)


ナレーター  「浅野家にて」    

SE: (ガラッと引き戸を明け、家に入っていく音。サ○エさんばりにちょっと古めの昭和のお家)

024猛   「っと、ただいまぁ」
025加奈 「兄貴のバカァッ!!」
026猛   「ぐぼぁっ!?」(殴られた)
027加奈 「アホッ、考え無しっ、この非人間っ! ウチのショートケーキを返せぇぇぇっ!!!」
028猛   「いだっ、アダッッッ、ま、待てっ、いきなりなにすんだよ加奈っ!?」
029加奈 「バカ! バカァッ! 兄貴はそんなことするやつじゃないって思ってたのに…… 酷いよっ」(涙ぐむ感じに感情を込めて)
030猛   「お、落ち着け…… な? 何があったか知らないが、俺はすごく無罪っぽいぞ?」
031加奈 「うるさーいっ! ネタは上がってるんだからね! 死刑っ!」

SE: (ブォーンッと何か飛んでくる音と慌ててよける音)

032猛   「うをっとっ!? だからそのネタって何だよ!?」
033加奈 「とぼけないよっ、冷蔵庫にあったウチの大好きなショートケーキ……。朝から並んで自腹で買った貴重な限定品(※)だったのに……! あれ食べたでしょっ!」(※一切れ780円なり)
034猛   「ショートケーキ? 待てよ、そんなの知らないぞ!」
035加奈 「嘘だっ!」
036猛   「嘘じゃないって! ホントに食べてない!」
037加奈 「まーだ言う…… 見苦しいよ兄貴! 卓(すぐる)が言ってたんだからね! 「たぶん兄貴なんじゃなーい?」って」
038猛   「卓がぁ? あのやろう濡れ衣着せがってっ」
039加奈 「天誅っ!」
040猛   「うをっ(※避けた)だから殴るな! アダッ!? 話せばわか……」
041加奈 「なに?」(いらっとした声で、短く)
042猛   「……らなそうだな」
043加奈 「さぁ覚悟を決めなよ兄貴…… ってあーっ、逃げるなコラーーッ!!」

SE: (自分の部屋に逃げ込む音)

044猛   「俺は無罪、だっ! 明日はデートがあるんだっ、死刑にされてる暇はないんだよっ!」
045加奈 「ふん、どうせ片想いのクセにっ」
046猛   「だから、両想いになるための重要なターニングポイントなんだっ、じゃなっ」

SE:バタンッ! (と、扉を閉める音を)   

047加奈 「くくぅぅぅ、金なし、頭なし、顔ありえないの三拍子揃ってるくせに生意気なぁ! 絶対、ぜぇったい復讐してやるぅぅ……!」
048加奈 「ウチのショートケーキを返せぇーーっ!」
049猛   「ふぅ〜〜。ショートケーキ、ねぇ」(壁の向こうでほっとしている感じ)


ナレーター  「翌日」


050猛   (心の声)「(ったく、昨日は散々だったな、いたた……)」
051燕   「どうしたの猛君? 頬のところ、腫れてるみたいだけど」
052猛   「あ、いや! 気にしないでください。ただの兄弟喧嘩ですから」
053燕   「喧嘩したの? ダメよ、兄妹は仲良くしなきゃ」
054猛   「あはは、大丈夫ですよ。喧嘩と言っても遊びみたいなもんですから。明日にはケロッとしてるんです」
055燕   「そう、ならいいんだけど」
056猛   「それよりそろそろ映画館に行きましょう? もうすぐ込んできますし」
057燕   「そうね、今日はありがとうね猛君、チケットまで貰っちゃって」

SE: (街を歩く音)

058猛   「いえいえ、どうせバイト先で貰ったものですし! それにしても、折角3人で学園祭の打ち上げに行こうって話だったのに、茂道の奴も運がないですよねぇ。こんな日に風邪ひくだなんて」
059猛   (心の声)「(計画通りだぜ、ありがとう友よ!)」
060燕   「ホントねぇ、後でお土産買ってあげましょうか」
061猛   「ハハ、そうっすね。泣いて喜びますよあいつ」
062加奈 「それで、何を見に行くの?」
063猛   「無難にハリウッドの大作映画だ、あのCMに出てる奴だよ」
064加奈 「うわー、無難すぎて面白くなーい」
065猛   「む、じゃあ何がいいんだよ…… ってなんでお前がここにいるぅぅぅっ!!」
066加奈 「ふふふ……」
067燕   「あら、猛君の知り合い? あ、もしかして例の妹さんかしら?」
068猛   「い、いえ、こいつはそのっ」
069加奈 「初めまして。ウチは猛の従妹(いとこ)の加奈っていいます、父が仕事の都合で単身赴任してるので居候させてもらってるんです。いつも兄貴がお世話になってます」
070燕   「あらあら、ご丁寧にありがとう。私は3年の赤羽燕よ。うふふ、そっかー猛君にこんな可愛い親戚の子がいたなんてねぇ」
071猛   「……何しに来たんだよ」
072加奈 「何って、酷ーい! せっかく携帯持ってない兄貴のために伝言しにきてあげたのにさ!」
073猛   「伝言?」
074加奈 「茂道から家に電話があってね、ウチが出たら『チケット捨てるのも勿体ないし、一緒に連れて行ってやったらどうだ?』って」
075猛   「なにぃっ! そ、そうか茂道がなぁ」
076猛   (心の声)「(買収されやがったな、友よっ!)」
077加奈 「そんなわけで、お邪魔でなかったらご一緒させてもらいたいんですけど、いいですか? 燕さん」
078猛   「け、けどなお前は初対面だし……」
079燕   「いいわよ加奈ちゃん。たくさん居た方が楽しいし、一緒に行きましょ? いいよね猛君?」
080猛   「もちろんであります!」
081加奈 「やった! ありがとう燕さん! 今日一日よろしくお願いします! 兄貴も、よろしくねー?」
082猛   「く、くぅぅぅ……! とほほ」



ナレーター  「映画館にて」



083猛   「燕さんは映画とかはよく見るんですか」
084燕   「んー、ひとりでは行かないけど。こうやって友達と見に行くのは好きだから、誘われたら行くぐらいかな」
085猛   「なるほど、やっぱ皆で見た方が面白いですよね」
086加奈 「でも、ウチは無難すぎると思うな」
087猛   「ぶり返すなっ。えーと…… お、あったあった! 席はこの3つみたいですね」
088加奈 「わーい、ウチ真ん中ねーっ!」
089猛   (心の声)「(ぬわにぃぃっ!? これじゃ燕さんと隣同士になれないではないかっ!!)」
090燕   「それじゃ私はこっちに、と。……どうしたの猛君?」
091猛   「あ、いやなんでもないっす! ぐぬぅ…… ぽ、ポップコーンでも買ってきましょうか?」(笑顔が引き攣ってるような感じで)
092加奈 「"ぽ"が多いよ兄貴」
093猛   「うるさいっ」
094燕   「それじゃあ、3人分買ってきてもらってもいい? お金は私が出すから」
095猛   「あ、いいですよそんな」
096燕   「いいのいいの、チケットを貰ってるんだし、年上なんだからこのぐらいは面目を立たせてくれない?」
097猛   「わっかりました、それじゃ買ってきますね」
098加奈 「あ、ウチはワサビ味ね」
099猛   「あるかそんなもんっ(※)」(※実は売ってるらしいです、一部では)


ナレーター  「喫茶店にて」


100加奈 「う゛う゛う゛ぅ…… めっちゃいい話だったぁ。ラストシーン最高ぅ……」
101燕   「ハンカチ使う?」
102加奈 「うん、ありがと。ございます」
103猛   「こういう所は純粋なんだけどなぁ」
104加奈 「なにやってるの兄貴、早く店員さん呼んでよ」(コロッと態度を変えて)
105猛   「すいませんね気が利かなくて。……すみませーん!」
106店員 「はーいただいまー! お待たせしました、ご注文はお決まりでしょうか」
107加奈 「えーと、季節限定特性ラズベリーショートケーキを1つとー、このフルーツたっぷりショートケーキを1つとー、イチゴのショートケーキを1つお願いします!」
108燕   「あらあら、全員分頼んでくれたの?」
109加奈 「うん、みんなウチのお薦めだよ! あ、大丈夫、全部兄貴の奢りだから。ね、兄貴?」
110猛   「ハ、ハハ、モチロンダトモ。ドンドンタノンデイイゾー」
111燕   「無理しなくていいのよ猛君?」
112猛   「いえいえこのくらいは。(財布確認して)うん、大丈夫ですから」
113店員 「お飲み物はいかがなさいますか」
114猛   「すみません、それじゃアイスコーヒーを1つ」
115燕   「私はアイスレモンティーで。加奈ちゃんは飲み物何にする?」
116加奈 「ショート…じゃなかった、イチゴミルクで!」(わざとっぽく間違える)
117店員 「かしこまりました、少々お待ち下さい」
118加奈 「ふふふ、楽しみだなー。あ、ちょっとお手洗い行ってくるね」
119猛   「はいはい行ってしまえ行ってしまえ」
120加奈 「燕さん、先に来てもウチの分を食べないように兄貴を見張っておいて下さいね!」
121燕   「ええ、了解よ」
122猛   「早く行けっ。……まったく」
123燕   「ねぇ猛君、ちょっといい」
124猛   「はい、なんですか?」
125燕   「加奈ちゃんとなんで喧嘩したの?」
126猛   「やっぱりお見通しでしたか。実はですね……」


127加奈 「あー美味しかった」
128燕   「ほんとねぇ、加奈ちゃんのお薦め、美味しかったわ。……それにしても、ホントによかったの猛君? 私は割り勘でも気にしないわよ」
129猛   「いえ、大丈夫です! こーゆー時のためのバイトですから」
130加奈 「ぷ、無理しちゃって」
131燕   「あ、そうだ加奈ちゃん。これ、お土産に持っていって」
132加奈 「え? う、うん。……ぁ! これ、もしかして、ケーキ?」
133燕   「さっき猛君がお会計を済ませてる間に隣のレジで買ってきたの、1ホールあるから家族みんなで食べてね」
134加奈 「えっと…… ありがとう、ございます」
135燕   「このお店ね、とってもケーキが美味しいって評判なのよ。猛君が調べてきてくれたの。昨日の晩に電話が掛かってきてね「ちょっと予定変更してもいいですか」って」
136加奈  「兄貴が……?」 
137燕   「そう、お土産にケーキを買いたいんです、ってね? だから喧嘩しちゃだめよ? 遊びならいいけど、今日みたいなのはちょっと猛君が可哀想だと思うわ」
138加奈 「……ゴメン、兄貴。ちょっとウチ、調子に乗ってた」
139猛   「うわっ、加奈が頭下げたっ! 気持ちわるっ」
140加奈 「な、なに、悪い?」
141猛   「別に。ケーキ、美味かったろ?」(笑みを浮かべて)
142加奈 「うん、めっちゃ美味かった」
143燕   「今日はありがとうね、猛君。とっても楽しかったわ」
144猛   「こちらこそ楽しかったです、よかったら茂道も誘ってまた行きましょう」
145燕   「そうね、その時は加奈ちゃんも一緒にね」
146猛   「んー、しょうがないなぁ、分かりました」
147燕   「うふふ、それじゃ。またね」

SE: (去っていく音)

148加奈 「……いい人だね、燕さんって」
149猛   「だろ? あの人の優しさに免じてそろそろ許してくれよ」
150加奈 「しょーがないな、燕さんに免じて、だからね」



ナレーター  「自宅にて」


151父   「うぃぃ〜〜 ひっく! ただいまパパが帰りましたよーんっ! だれかぁ〜、みずぅ〜」
152加奈 「お帰りー、伯父さん…… うわっ、お酒クサッ!」
153猛   「お帰り父さん。はい水」
154父   「(水を飲む演技を)ぷはぁ!」
155父   「おやーん、甘い匂いがするねぇ。昨日食べたショートケーキがまだ残ってたのかなぁ」
156加奈 「……けーき?」
157父   「いやー、あれは美味しかったなぁん。また食べたいなぁ…… あ、ん? どうしたんだ2人とも、そんなにお父さんを見つめて? 親子じゃ結婚はできないぞ〜?」
158加奈 「お、お……」
159猛   「お前かーーーーっ!!」
160加奈 「お前かーーーーっ!!」(※できれば2人同時に)