企画名 ：『パパは高校２年生！ 〜バレンタインとキューピット？〜』
台本著者：坂之上・聖
登場人数：6人
台詞数 ：217
あらすじ：
来週はバレンタインデー！
つまり長谷川誠には何の関係もない日だったのだが、突然後輩である桜がチョコレート作りの秘訣を聞きにたずねてくる。
そこから発覚する桜の恋人事情。どうやら志野浩次という意中の相手が居るらしい。
そうと聞いては黙っていられないのが出歯亀根性、自称キューピットこと同居人の朋は誠を巻き込んでこういった。
「手伝ってあげてもいーよー？ ねーとーちゃん？」
誠はツテを使って志野の情報を探り、朋は行き倒れの演技で志野から好きな味を聞き出す。
そう、万全の情報を持ってして桜はチョコを作り志野に告白したはずだった。
しかしその結果は大失敗！
泣きながら帰ってきた桜を誠が慰めるが、それは桜の勘違いだとすぐに気付く。
桜を追いかけてきた志野を激励し、家に上げ、2人を残して誠と朋は家を出る。
「買い物にでも行くかね」
「あ、じゃあチョコフォンデュやろうよ」
そんな、バレンタインデーとキューピットのお話。
―――――――――――― 本文 ――――――――――――
長谷川 誠 ＜台詞数：69＞
はせがわ まこと
・父ちゃんと呼ばれる高校生（16）
寮での一人暮らし生活を満喫する高校2年生。なのだがひょんなことから孤児を養うことになった。最近ではとーちゃんと呼ばれるのも慣れてしまった様子。
世話好きで家事も好きだが、本人は認めていない。激しく突っ込み体質。
仕送りもあるようだが夜中にこっそり働いていたりする。両親の話はしたがらない。
長谷川 朋 ＜台詞数：59＞
はせがわ とも
・とーちゃんと呼ぶ孤児（みなしご）小学生（9）
色んな意味でマイペース過ぎる唯我独尊少女。自分が面白いと思ったことに常に突っ走りながら生きている。朋は偽名、誠が一文字だったから自分も一文字にしたかったらしい。
複雑な事情から両親に捨てられた経緯があり、預けられた施設から家出している。
最近のマイブームはマヨネーズご飯の鰹節乗せ。
牧野 桜 ＜台詞数：38＞
まきの さくら
・ノリと勢いと体育会系女子高生（15）
明るくノリがよく「〜ッス」口調で喋る変な女子高生、誠の1つ後輩。家事の達人である誠を「師匠！」と崇めており、たまにゲリラ的に押しかけては料理を習ったりしている。
誠以上に世話好きだが破滅的不器用という持病を抱えており、そのお節介は大抵悲惨な結果をもたす。（主に誠に）
実は非常に良いところのお嬢様で、家では別人の如く大人しかったりする。今回兄がいることが判明した。
牧野 昇太郎 ＜台詞数：15＞
まきの しょうたろう
・次期生徒会長を名乗る高校生（16）
桜の兄であり誠の同級生であり次期生徒会長を狙う現在副会長。桜とは違い権力に貪欲で常に根回しを忘れない政治家気質な男。
牧野グループの後を継ぐべく様々な英才教育を受けてきたお陰でいろんな場面で無駄にハイスペックだが、それほど人望は無い。
腹黒を演じているところがあり、気の置けない友人や家族には優しい。元々名門校に通っていたが桜が「普通の学校に通ってみたい」と言い出したのでそれに合わせて転校している。
桜には自由であって欲しいと思っているが、家の重みを知っているため恋愛沙汰にはつい厳しくなってしまう。
志野 浩次 ＜台詞数：35＞
しの こうじ
・普通が特徴の高校生（15）
それなりに勉強ができて気立てもいい、顔も悪くはない程度、父は普通のサラリーマン母は専業主婦と家も普通、唯一特徴と言えるのが剣道の腕前しかないという逆に珍しい人。
ただ底抜けに優しく困っている人は放っておけないタイプ。また、剣道の試合ではどんな強い相手に当っても一歩も退かない熱いところもある。恋愛にも奥手だが、やっぱり大事なところでは頑張る子。
……そう書くとやっぱり普通の主人公タイプ。
剣道部のエースで１年生ながら既に部内で彼に勝てる人間はいない。
店員 ＜台詞数：2＞
・喫茶店の店員です
『パパは高校２年生！ 〜バレンタインとキューピット？〜』
SE:ピンポーン
SE:ガチャ
1 誠「はいはいどちらさんで――」
2 桜「師匠！」
3 誠「うを、桜か。……ってまたこの導入かよ、なんだよいきなり大声出して」
4 桜「師匠っ、質問があるッス！ チョコってどんな味が好きッスか？」
5 誠「チョコ？ 別にビターでもホワイトでも何でも好きだけど」
6 朋「あ、あたしもホワイトチョコ好きー！」
7 桜「そうなんすか？ 男子って甘いの苦手って聞いたんすけど」
8 誠「そんなの人によりけりだろ、俺は甘党だけど９９％が好きな奴もいるしな」
9 桜「そうなんすか……」
10 誠「ってか何でチョコなんだ？」
11 桜「やだなー師匠、来週バレンタインデーじゃないっすか！」
12 誠「へ？ 来週？ あれ、俺前回スイカとか切ってたような…… 夏休み明けっぽい感じがしたんだけど……」
13 桜「今は２月ッス、凄く、２月ッス、大人の事情で異論は認めないッス」
14 朋「ちなみにあたしが来たのは１週間前ねー」
15 誠「……突っ込んじゃダメなんだな。まぁ、とりあえず上がれ、うん」
※タイトルコール
16 朋「パパは高校２年生！」
17 桜「バレンタインとキューピット？」
18 桜「うーん、でも困ったっすねー、男子って皆ビターが好きなものだと思ってたッス」
19 朋「桜さん、誰かにチョコあげるの？」
20 桜「あ、うん、ちょっとね。それで師匠に必殺チョコの作り方を習おうかと思ってたんだけど…… あの人はビター派か、普通派か。うむむむ」
21 誠「ほぅ、ついに桜にも開花の季節が訪れたのか」
22 朋「せーつなーにまいちーる、さだ……」（森山直太○風に）
23 誠「散らすなっ」
24 桜「（非常に慌てて）そ、そんなんじゃないっすよ！ その、これを期に思いの丈を伝えたいというか、お付き合いできたらいいなとか、とにかくそんなぐらいッス！？」
25 誠「どストレートじゃねぇか」
26 桜「ぬぁっ！？」
27 朋「桜さんって面白いよね」
28 誠「ま、そういうことならチョコを使ったデザートの作り方ぐらい教えるけどな。けどまぁ、気持ちが伝われば良いとはいえ、やっぱ好みに合わせた方が無難だと思うぞ」
29 桜「ど、どうしよう師匠！ あと１週間しかないっすよ！？」
30 朋「むふふふ、好きな人は誰なのか、教えてくれたら手伝ってあげてもいーよー？ ねーとーちゃん？」
31 誠「へ？」
32 桜「（ちょっと迷い）……実は」
33 誠「おいちょっと俺はそこまで」
（場面転換、学校にて）
SE:キーンコーンカーンコーン
34 誠「１年の志野浩次か…… あ゛ーくそ、聞いちまったら断れねぇだろうが……」
35 昇太郎「どうしたんだ長谷川？ 朝っぱらから顔が死んでるぞ」
36 誠「牧野…… いや、ちょっと悩み事があってさ」
37 昇太郎「ほほぅ、まーた厄介ごとを持ち込まれたか。どれ、この次期生徒会長牧野昇太郎に言ってみろ、投票数稼ぎのために協力してやらんでもないぞ」
38 誠「（ああ、お前の妹に恋のお悩み相談持ち込まれてんだよっ！ って言ってやりてぇ……！）」
※括弧の中も普通に録音してください。（編集時に加工します）
40 誠「ってか後半の台詞は隠せよ」
41 昇太郎「僕が生徒会長になったあかつきには、嘘も隠し事もしない議会運営をするつもりだ」
42 誠「全裸じゃまずいだろ。うーん牧野、志野浩二っていう１年、知ってるか？ 剣道部らしいんだけどさ、やっぱ知らねーよなー」
43 昇太郎「知ってるぞ」
44 誠「マジ！？」
45 昇太郎「あの剣道部のエースだろう？ 志野君は次期部長に目されてるからな、剣道部の組織票集めのために勿論チェック済みだとも。住所からタイムスケジュールまで完璧に収集済みだ」
46 誠「どこの探偵だお前は。あー、じゃあそいつって甘いもの苦手か分かるか？」
47 昇太郎「知らん。選挙に関係ないからな。しかし何でそんなことを聞くんだ？」
48 誠「あー、……とある女子に頼まれてさ。ほら、もうすぐバレンタインデーだろ？」
49 昇太郎「……調査を頼まれたというわけか、相変わらず損な役回りだな。まぁ住所と帰宅時間ぐらい教えてやるから後は自分で何とかしてくれ」
50 誠「いいのかっ、悪い、ありがとう」
51 昇太郎「構わんさ。時に長谷川。その女子とはもしかして桜のことか？」
52 誠「ブッ。そ、そんなわけ無いだろ！？ あ、アイツはまだまだ部活一筋じゃーないかなー！？」
53 昇太郎「そうか。……何度も言うようだが桜には絶対に手を出すなよ。僕も桜も背負ってるものが大きすぎる」
54 誠「分かってるよ。俺は自分からは何もしない、それが"約束"だ。けど、桜が何を望むかは自由だぞ」
55 昇太郎「分かってる。分かってるさ。分かってるんだがな……」
（場面転換）
56 誠「さて、調べるとは言ってもいきなり知らない１年に声をかけるのも怪しいよなー。うーんどうしたもんか…… 初対面でも怪しまれずに根掘り葉掘り個人情報を聞き出す方法、もしくはそんなツテなんて…… あ、丁度いいのがいた」
（場面転換、校門前）
57 誠「それじゃあ手はず通りに頼むぞ朋」
58 朋「オッケー！」
59 桜「ゴメンね朋ちゃん、チョコ作ったら朋ちゃんにもあげるから」
60 朋「楽しみにしてるね。それじゃミッションスタートゥ！」
SE:タッタッタ（と、走っていく音）
61 桜「大丈夫っすかね、朋ちゃん」
62 誠「アイツの図々しさは筋金入りだから大丈夫だろ、たぶん」
63 桜「あ、来ました、あの人が志野君ッス」
64 誠「へぇ、ちょっと可愛い系だけどいい顔してるじゃないか。なんつーか、真面目な感じがお前と気が合いそうだな」
65 桜「そ、そんなことは…… あっ、朋ちゃん作戦開始したみたいっすよ」
（場面転換）
66 浩次「お疲れ様でしたー！ ……ふぅ。あ、もうバス出ちゃってるじゃん。しょうがない、トレーニング代わりに走ってこうかな」
SE：グニッ（と、何かを踏む音）
67 朋「ウグッ」
68 浩次「……ん？ 今何か踏んだような……」
69 朋「ミゾオチ、ミゾオチだよ今の……、おにーさん、とーちゃんより容赦ない……。はぅぁぁぁ」
70 浩次「うわぁぁっ！？ ご、ゴメン君っ、大丈夫！？」
71 朋「うう…… 今のでお腹が空いたのにとどめが刺さった〜。だからもう一歩も動けない〜、誰か食べ物を〜、がくっ」
72 浩次「え、あ、ちょっと！？」
（場面転換、喫茶店にて）
73 朋「あたしはチョコレートパフェとチョコレートケーキでっ！」
74 浩次「ミルクティーでお願いします」
75 店員「かしこまりましたー」
76 浩次「で、君は何でこのご時勢に行き倒れてたりしてたの？」
77 朋「とーちゃんがハケンギリにあってお金なくて食べるものも無くて、何か食べ物を探そうと思って遠くまで来たら迷っちゃって……」
78 浩次「それは大変だったね…… そっか、不況ってそんなに大変なんだ。（←信じてます）僕、何もできないけど、せめて何か食べていってよ。サンドイッチとか頼まなくて良かった？」
79 朋「ううん大丈夫。おにーさんのお陰で助かったよ、ありがとーっおにーさんは命の恩人だよー」（大げさな感じに）
80 浩次「どういたしまして。でもそっか迷子か、困ったね。良かったらおうち一緒に探そうか？」
81 朋「ううん、よく考えたら携帯に電話すれば迎えに来てくれるから大丈夫だった」
82 浩次「そ、そう。携帯持ってるんだ……」
83 店員「お待たせしました、チョコレートパフェとチョコレートケーキ、ミルクティーでございます」
84 朋「わーいおいしそー！ あ、おにーさんも食べる？ チョコプレート以外だったらいいよ？」
85 浩次「あはは、遠慮しとくよ」
86 朋「甘いもの、嫌いなの？」
87 浩次「いやそんなことは無いけど、試合が近いから控えてるんだ。あー、でも折角だからこのイチゴを貰おうかな？ フルーツならＯＫだしね」
88 朋「なるほどフルーツはオッケー、甘いものはダメ、と」
89 浩次「なに書いてるの？」
90 朋「乙女の秘密ノート、覗いちゃダメだよ」
91 浩次「はは、了解」
（場面転換）
92 誠「お、喫茶店に入っていった。ここまでくれば後は大丈夫だろ」
93 桜「はー、朋ちゃんって凄いっすねー。あの行動力、見習いたいッス」
94 誠「いや桜も十分行動派だと思うぞ…… しかしチョコを渡すつってもあんまり面識が無さ過ぎたら逆効果らしいぞ、そこは大丈夫なのか？」
95 桜「はいッス、……たぶん。けっこー、一緒に練習したりするので」
96 誠「ふーん。ん？ ところでその志野とやらはどんな奴なんだ？」
97 桜「志野君っすか？ 志野君は、私の目標であり、憧れなんすよ。凄く剣道が強くて、真面目で良い人で、ちょっと普通過ぎるけど、けど凄く優しい人なんす」
98 誠「なら、大丈夫か……」
99 桜「はい？」
100 誠「いや、なんでも？」
（場面転換）
101 朋「そーいえば、おにーさんって彼女とか居る？」
102 浩次「え、ええ？ いないけど」
103 朋「じゃあ好きな人は？」
104 浩次「っ。な、何でいきなりそんなこと聞くのかな」（実はいるので慌てる感じ）
105 朋「チッチッチ、来週はバレンタインデーですよおにーさん。世間は恋の季節なのだっ。だから話題は恋バナでけってーなのっ」
106 浩次「そ、そーなの？」
107 朋「そーなの。あ、ちなみにあたしは将来とーちゃんのお嫁さんになる予定なんだ。ほっとくとずっと主夫やってそうだし、だから仕方なく結婚してあげるの」
108 誠「ぶえっくしゅ！」
109 浩次「ハハハ、こんな可愛いお嫁さんが来てくれるならお父さんは幸せ者だね。でも」
110 朋「大丈夫、血は繋がってないから」
111 浩次「ええぇっ！？」
112 朋「さぁさぁおにーさんも話すのっ」
113 浩次「うーん、ははは…… これは観念するしかないなぁ。えっと、剣道って知ってる？」
114 朋「うん、あの竹刀でパシパシやるやつでしょ」
115 浩次「そうそう、僕はその剣道部の部員なんだけど。ある日その剣道部で一番を決めようっていって、女子も混ぜてトーナメントをやったんだよ。まぁ、女の子は数も少ないしやっぱり最初の方で負けちゃうんだけど、一人だけ決勝戦まで勝ち進んだ子がいてね。僕は、決勝戦でその子と戦ったんだ」
116 朋「もしかしてその人が」
117 浩次「そう、凄く真剣で頑張り屋で、なんて言ったらいいのかな、戦っててそういう心がドンドン伝わってきたんだ。魅せられる、っていうのかな。試合には勝ったんだけど心には思いっきり突きが入っちゃったっていうか、それからずっと気になっちゃって…… ハハハ」
118 朋「好きなんだね」
119 浩次「う、うん、まぁ……」
120 朋「（うわー、桜さん大ピンチじゃーんっ！）」
121 朋「いーなー、これが青春ってやつなんだねー。あ、因みにその人の名前は？」
122 浩次「牧野桜さんっていうんだけど」
123 朋「へ？」
124 朋「（うわーい、いきなり両想いじゃんーっ）」
125 浩次「でも、きっとダメなんだろうな。その人、もう付き合ってるらしいし」
126 朋「ええっ、だ、誰と？」
127 浩次「名前は知らないんだけど、なんでも高校生なのに隠し子がいて家事が物凄く上手で牧野さんが毎日のようにその人の家に通ってるって……」
128 朋「（とーちゃーーんっ！？）」
129 浩次「はぁ、あ、ゴメンね変な話をしちゃって」
130 朋「大丈夫だからっ！」
131 浩次「はい？」
132 朋「絶対大丈夫だから、諦めちゃダメだよ！ 挑戦もしないで諦めるなんてもったいないよっ！」
133 浩次「でも……」
134 朋「きっと上手くいくよ！ あたしが保障する！ だってあたし実は恋のキューピットだから！」
135 浩次「は、はい？」
136 朋「いいから頑張るの！ 分かった！？」
137 浩次「わ、分かりました」
138 朋「よろしい！ それじゃああたしは帰ります、ごちそうさまでした！ じゃあねーっ！」
139 浩次「……キューピットか。なんだったんだろう、あの子」
（場面転換）
140 誠「お、戻ってきた。朋、どうだった？」
141 朋「とーちゃんのバカーーッ！！」（朋トルネードキックッ）
142 誠「ふぐぅっ！？」
143 朋「その親切が時に大きな誤解を生むんだよっ！」
144 誠「な、何の話ですか、マジで」
145 朋「あ、桜さん。甘いものは控えてるけどフルーツはオッケーだって」
146 桜「おおっ、ありがとう朋ちゃん！ 危うく地雷踏むところだったよっ」
147 誠「ゲフ…… それならチョコを少なめにして、フルーツピールとか干しイチジクを使ったフルーツチョコなんて良いかもな。簡単だし桜でもすぐできるぞ」
148 桜「なるほど。ありがとうございますッス師匠！ 早速研究してくるッス！」
ＳＥ：タッタッタ（と、走っていく音）
149 誠「あ、おいっ！ ……大丈夫かな、アイツのアレンジはいつも独創的過ぎるんだが」
150 朋「大丈夫だよ、なんたってここにキューピットが居るから」
151 誠「あん？」
152 朋「それにしても、志野さんってすっごくいい人だったよ。パフェとケーキまで奢ってくれてね、優しかった」
153 誠「当然だろ。桜が惹かれた奴なんだからな」
（場面転換）
154 誠「そんなわけで当日になったわけだが、ホントに大丈夫かねアイツ」
155 朋「大丈夫だよ、この前聞いてきたけど両想いだったし」
156 誠「マジかっ！ じゃあ教えてやればよかったのに」
157 朋「だーめ、ちゃんと告白しないとダメなの！ そーゆーものなの！」
158 誠「はぁ、そーゆーものですか」
159 朋「そーゆーものです」
ＳＥ：バターンッ（と、扉を開けるおと）
160 桜「ぅあぁぁぁんっ、しぃぃじょぉぉ〜〜」（泣きながら駆け込んでくる）
161 誠「うをぉぃっどうした桜っ！？」
162 桜「師匠、私、わたし…… 嫌われちゃったっすぅぅぅっ！！」
163 誠「マジかっ！？」
164 誠「（おい！ 両想いじゃなかったのかよ！？）」
165 朋「（あ、あれー？）」
166 桜「ぅぅ、ひっく」
167 誠「ああ泣くな泣くな、いい奴ほど先客がいるもんだって、なぁ。お前は頑張った、よく頑張ったよ。チョコも頑張って作ったんだろ、なら」
168 桜「困ってたッス……」
169 誠「ん？」
170 桜「最初は喜んでくれたんす、でも、箱を開けた途端笑顔が引きつって一歩引いちゃって」
171 誠「逃げてきちゃったわけか。なんとなく分かってきたぞ。……それで、どんなチョコを渡したんだ？」
172 桜「……これッス」
ＳＥ：ぷぅ〜ん（という感じの音）
173 誠「う！ なんだこの地獄の底から漂う瘴気のようなとてつもない臭いは！？」
174 桜「ドリアンッス」
175 誠「それアウトだろっ、ってかせめて臭くないやつ買えよっ！」
176 朋「め、目に来る……っ」
177 桜「でも兄さんが美味しいからこれで行けって」
178 誠「アイツの差し金かっ！？」
179 桜「あ、それ師匠の分ッス」
180 誠「しかも俺のっ！？ う、じゃ、じゃあちょっと味見を…… ん？ なんだ結構美味いじゃんか、これ普通にいけるぞ」
181 朋「あ。ホントだ美味しい」
182 桜「ぅぅ、作った時はそこまでの臭いじゃなかったんすけど……」
183 誠「ドリアンは古くなるほど臭いがきつくなるらしいからな。おおかた気合入れて早く作りすぎたんだろ？」
184 桜「どうしよう師匠、絶対嫌われたッスぅぅ〜〜」
185 誠「まぁ落ち着けって、別に断られたわけじゃないんだろ？」
186 桜「そうっすけど」
187 誠「なら大丈夫だよ、俺の予想だとそろそろ」
ＳＥ：ピンポーン
188 誠「きたきた。よし、キューピット１号、ついて来い！」
189 朋「アイアイサー！」
190 桜「師匠？」
191 誠「ほれハンカチ。涙、ちゃんと拭いとけよ」
ＳＥ：がちゃ
192 誠「はいはいどちらさん？」
193 浩次「あの、すみません。僕、剣道部の志野と言うんですが」
194 誠「よし分かったとりあえず中へどうぞそしてこのキューピットたちは席を外すんで後はヨロシク！」
195 浩次「え、あのっ！？」
196 朋「絶対大丈夫って言ったでしょ、頑張って！」
197 浩次「君は…… そうだね。お邪魔しますっ！」
198 桜「志野君？」
199 浩次「牧野さん、さっきはゴメン。でもどうしても伝えたくて、実は僕、前から君のことが――」（この辺りでフェードアウト）
ＳＥ：ばたんっ
200 誠「さて、それじゃ俺達は暇つぶしに買い物にでも行くかね」
201 朋「あ、じゃあチョコとフルーツ買ってうちでフォンデュやろうよ」
202 誠「それいいな。あてつけに思いっきりハート型にカットしてやるかね。しっかし…… ふぃ〜〜、やれやれ。色恋沙汰は疲れるぜ」
203 昇太郎「まったくだ」
204 誠「うをっ牧野っ！？ いつの間に！？」
205 昇太郎「5分と12秒ほど前からだな。フッ、次期生徒会長にかかれば気配を殺して後をつけるなどたやすいわ」
206 朋「すごーい、忍者みたい」
207 誠「いやいやそれストーカーだから。まったく、今更なにしに。あ、もしかして自分がドリアンなんか勧めたから心配になって見に来たんだろ」
208 昇太郎「なっ、別にそんなことは無い！ 僕はただ牧野グループの後継者として桜が不順交際などしてないか監視をだなっ」
209 誠「それ、桜のチョコだろ？ 昨日味見をした時は良かったのに今日開けてみてビックリ、慌てて追いかけてきたってところか？」
210 昇太郎「……ふん」
211 朋「ねぇねぇこの人桜さんのおにーさん？」
212 誠「ああ、似てないだろ」
213 朋「めっちゃ似てないね」
214 昇太郎「うるさいなっ！？」
215 朋「大丈夫だよ桜さんのおにーさん。このキューピットが保障する。桜さんは今、笑ってるから」
（最後に志野と桜のツーショットイラストを入れたいけど、未定（主に背後の描画能力不足で……））
216 誠「ところでなんでキューピットなんだ？」
217 朋「マヨネーズ見て思いついたの」
218 誠「マヨネーズかよ！」