『みんなで動物園!』 (ガタンゴトン…と電車の通り過ぎる音) 生徒A(以下A)01「……で、今日は動物園にやってきたわけだが。やっぱり平日のしかも真昼間の動物 園ってあんまり人が居ねぇよな」 生徒C(以下C)02「ちょっとした貸し切りみたいで嬉しいですね。でも、人が居ないと少し寂しいな」 生徒D(以下D)03「なら盛り上げていきましょ? ここには仕事で来てるけど、楽しんじゃいけないわ けじゃないんだし。それに、妖獣さえ倒しちゃえば後は遊び放題なんだから……経費でね」(最後ニヤッ と笑う感じで) C04「そうですね……って遊ぶときは経費使っちゃダメですよ!?」 D05「アハハハ、堅いこと言わないの。――今月マジで厳しいんだから」 C06「ぁぅ、でも……」 生徒B(以下B)07「フッ、今月も無駄使い三昧か? ハテ、先月も確か携帯料金で苦しみ喘いでいたよ うな……進歩が無いな君も」 D08「う、うっさいわね! いいでしょ別に、その日その日を幸せに生きるのがあたしのスタイルなの」 B09「ああかまわんよ。君がどう生きようと勝手だが、ただここは公共の場だ。せいぜい我々に恥をかか せないでくれよ?」 D10「は、恥ですってぇ!? あーんーたーってやつはぁ……!」 A11「あーはいはいはいストップストーップ! だべってないで仕事しようぜ、し・ご・と」 C12「け、喧嘩はダメですよ……?」 D13「……分かったわよ。それで、観測された妖獣は何処にいるんだっけ?」 A14「大型動物エリアのどっかだとさ。普通の動物に化けてるらしいけど、まぁ俺たちが見れば一発で分 かるだろ」 B15「フッ、見つけ次第スマートに片付けよう。午前中に発見し、人が居ない昼食時に済ませるのが理想 的だ」 A16「オッケー、それじゃとりあえず出発だな」 (移動し……) A17「さって、このエリアの何処かか。とりあえず一通り回って気配を確かめるぞ、皆気取られないよう に足音と声は殺して……」 C18「わーーっ! 見てください、ワニさんです、おっきなワニさんが居ますよっ! わーー、凄いなー ーあんなに口が大きいんですねー」 D19「あらほんと、食費がかさみそうな口をしてるわねぇ……。やだわぁ、でも見る分には面白いわね」 B20「他人が浪費するのを見るのは楽しいか、良い趣味をしているな」 D21「あんたほどじゃないわよ」 A22「おいコラお前ら、人の話を……」 C23「あっ、あっちにはクマさんが居ますよー! 凄いなぁ、真っ白なクマさんなんて初めて見ました!  おっきいなぁ、かわいいなぁ」 A24「(聞いてネェ……!)」 D25「もう夏だって言うのに暑苦しいわねぇ……。でもあのふさふさな毛皮は中々……」 B26「フッ、剥いでコートにでもする予定かな?」 D27「ハズレ、玄関の絨毯にする予定よ。真っ白な毛って虎柄よりも品があるとは思わない?」 B28「なるほどもっともだ、その点は同意しよう。いや参ったよ、君は動物園の楽しみ方を良く心得てい る」 D29「あんたほどじゃないわよ」 C30「け、毛皮取っちゃうんですか? ぅぅー……、だ、ダメです! クマさんがかわいそうですっ」 D31「あ、ちょ、ちょっと泣いてるの? バカね冗談に決まってるでしょ、動物園のクマに手を出すわけ 無いじゃない。ほらこれで拭って」(ハンカチわたし) C32「グス……ほんとですか…?」 B33「いや、アレは本気の目だったような」 D34「あんたは黙ってなさい! ほんとに決まってるでしょ、あんなにかわいいクマなんだから」 C35「はい。そ、そうですよね。あんなにかわいいクマさんが……」 (SE:ギュワォオオオオッッ!! と、かわいくない鳴き声が) B36「かわいい……? 俺にはなにやら目を見開いて牙を剥き出しにして涎を垂らしながら叫んでるよう に見えるのだが。そうか、アレがかわいいか」 A37「お前らなぁ、楽しむのは後にしろ! いい加減にしないと俺もあのクマみたいに怒るぞっ!」 B38「いや、あれは怒っている、と言うレベルでは無いぞ。……来る」 A39「何……?」 C40「クマさんが……真っ白なクマさんが真っ赤になって突撃してきますぅっ!?」 (SE:ギュワォオオオオッッ!! バキーン、と何か鉄格子破っちゃったぽい音が) B41「そうだな、どのくらいのレベルかを表現するならば。『わざわざぶりっ子してかわいらしいポーズ してたんだからさっさと近づけや、勝手にもめてんじゃねぇこのバカ人間。ええいもう痛いの我慢できな いし近付かないならこっちから食いに行ってやる、もう我慢の限界だチクショーめ』っと言う感じか」 A42「冷静に言ってる場合か!? みんなイグニッションだっ!」 (SE:ギュワォオオオオッッ!!) 全員43「「イグニッション!!」」 D44「……かわいくないわねぇ」 B45「ドロロワグマか、ちと予定より早いが幸い人目も無い。スマートに片付けるとしよう」 D46「フン、足手まといにならないでよ」 B47「フッ、それはこちらの台詞だ。毛皮に気を取られてくれるなよ?」 C48「こ、怖い……けど、やらなくちゃ」 A49「大丈夫か? 無理すんなよ、お前は後ろで支援でもいいんだぞ」 C50「大丈夫です、出来ます。ボクだって……ボクだって戦えるんですから!」 A51「そうか、頼りにしてるぜ。……それじゃ、行くぜぇぇーーー!!!」 (SE:ギュワォオオオオッッ!!) (そして時間は経過し、ドロロワグマは倒される) A52「……ふぅ、割と早く片付いたな。みんないい動きしてたぜ」 B53「スマートに、作戦完了だ」 D54「フン、口先だけじゃないみたいね。まぁ、ちょっとだけ認めてあげるわ」 B55「身に余る光栄だね。いや俺も見直したよ、世の中にはクマより怖い怪力娘がいるのだな」 D56「な、誰が怪力娘だぁーーーっ!」 C57「お、終った……、勝った……勝ちました。けど……クマさんは……」 A58「気にすんな。クマはちゃんと天国に行ったんだ。こんな所で死んだまま生きてるより、ずっといい 所にな。……それとも、今頃は何処かで生まれ変わってるのかもな」 C59「でも、僕。クマさんを……」 A60「救ったんだよ。だろ?」 C61「そう、なんでしょうか……」 A62「ああ、あのままずっと他の人間や動物を襲いながら痛み続けてるよりずっといい。俺だったらむし ろ感謝するね、お前みたいな奴に倒されて良かったって」 C63「そんなことは、ないですよ」 A64「あるさ、……あのクマのために泣いてやれたのは、お前だけなんだから」 D65「……ちょっとー、何してるの2人とも? 置いてくわよー? 遊ぶわよー!」 A66「おう、今行くー! ……行こうぜ?」 C67「……はい!」 (段々とフェードアウトしていく) D68「次はペンギン見に行きましょうよペンギン! 夏のペンギンってなんかレアじゃない?」 C69「ペンギンさんですか? 賛成ですっ。きっと凄くかわいいと思います」 B70「フッ、ペンギンではいい毛皮は取れんぞ?」 A71「お前らなぁ、いい加減毛皮から離れろよ……」