■2006年の作品から見える傾向 2006.12.31
以下は2006年に発表された入れ替わりを扱った作品の中から管理人がこれは!と思った作品や
その他諸々の出来事を挙げてます。
見直されつつある入れ替わりというテーマ
気になる作品など
見直されつつある入れ替わりというテーマ
2005年も良作がそれなりにあったのだが2006年はそれ以上の年だった。
良作があったと言っても2005年の作品は漫画やアニメなどの場合が多く、
結局興味を持って見る人でないと作品に巡りあえないため、筆者のような好きものが
騒いでるだけだった。
しかし2006年は不特定多数が見れる媒体(要するにテレビドラマ)で
扱われたことが大きく、エンタメ系に興味ある人間で2006年で一度も
入れ替わりに関係した作品の話題を聞かなかったということはなかったのでは
あるまいか。
特にこの 『部長OL』
(→作品リストへ)は2006年を代表する作品と言っていい。
フジテレビを代表するオムニバスドラマ枠『世にも奇妙な物語』内で放送されたこの作品は視聴した
人間の割合がハンパではなく、筆者はこの作品名でブログを検索をしてみたのだが他とは比べ物に
ならないくらい引っかかった。また内容の良質さも手伝い多くの人々の記憶に刻みこまれたと思われる。
こういう作品の出現は非常に嬉しい。そしてやはりテレビという媒体の凄さを心底思い知らされた。
余談ではあるが主演の釈由美子はこの作品が話題になったことで2007年放送の
コメディドラマ『ヒミツの花園』の主演に抜擢されたという。
その他にも一部地域の深夜枠ではあるが『アンナさんのおまめ』の該当話もそれなりに話題に
なり、海外では『戻ってきて!スネさん』や『It's a Boy Girl Thing』のように思いっきり
原点に立ち返った作品が生まれてきている。そして何より2006年の最大のビッグニュースは
『転校生』リメイクの報が飛び込んできたことだ。こういう作品の話題を見るにつけ、
ここ最近“入れ替わり”というテーマは単にストーリーのパターンの一つとして使われている
わけではなくマスメディアにおける商業的価値を見直されてきたと思えるのだ。
もちろん他ジャンルでも行われているリメイクブームの一環・ネタ切れの緊急避難策といった
冷めた見方も可能ではあるが、筆者は必ずしも新しいことが重要だとは思わない。ものを言うのは
やはり作り手の意識と素材の料理法だろう。すべての作品に言えるわけではないが、
少なくともここ最近作られる映像における入れ替わり作品はそういったことを全部了解済みで
その上でしっかりしたものを作ろうとする姿勢が感じられる。
流れが来ているのではないだろうか。
参考記事など
神作品『部長OL』
気になる作品など
上記の『部長OL』以外にも2006年には色々と気になる作品はあったのでそれらを
取り上げてみたり。
『さくさく』(著者:みもり)
(→作品リストへ)
2006年の商業作品の中では一番新しい見せ方に挑戦している作品。筆者個人としても
作風が非常に好み。なにせWeb創作小説では多いが商業作品では“入れ替わり”という
現象を受け入れて生きていくという見せ方はほとんど見られない。
それでいて展開は非常に読後感がよく出来るならば続きが読んでみたい良作。
この作品のように入れ替わりというテーマを使って新しい話が作ろうと
思う人がもっと出てきてもいいのに。
『三田村夫妻』
(→作品リストへ)
肩の力を抜いて楽しめる大人向けの軽いユーモアで料理したラジオドラマ。作中入れ替わった二人が
「映画みたく思春期な時に入れ替わったんならドキドキもあっただろうけど、10年も夫婦やってる
俺らが入れ替わっても面白くもなんともないよな」なんて台詞はこの作品のユーモアを象徴する
台詞。
あとこれは間違いないですが、この作品が再放送されるに至ったのは当サイトを見た
方々が協力していただいたからです。やり方の是非はあったと思いますが
小さいこととはいえ社会に影響を与えたのは我ながら驚きの出来事でした。協力して
いただいた方々には改めて御礼申し上げます。
『Doする!?パラダイス』(著者:玉越博幸)より 『女の子のキモチ』
(→作品リストへ)
個人的に男女の入れ替わりは少年漫画のような展開こそが王道だと思っているので、まさに
その王道たる作品がこれ。いや案外ここまでストレートに女の子になったことを体感する展開を
描いた少年漫画の該当作はなかったのではあるまいか。(しかも男の子になった女の子側はそっちのけで(笑))
この作品でTSに目覚めた少年は多いと思う良作。自分が小学生時代にこの作品を読んでいたら
間違いなく心にざっくり刻まれたでしょう。
『かいわれっ!』(公式サイト)
(→作品リストへ)
“入れ替わり”をメインテーマに据えたこのゲーム。筆者個人としても期待がものすごく
大きく、今発売当時を振り返ると少々持ち上げすぎではあった。言いたいことは
色々あるのだが、一般層・TSFファン層に共通して言われたことはなんと言っても
“ボリューム不足”ということ。
作品の中では深刻なストーリーになることが多いがそれはそれでありだと個人的には
思う。ただそういうのの前に入れ替わりといえばほとんどの人がドタバタギャグを
想像するわけで、まずそういう王道展開も用意してほしかった。
他にも正規の手段では手に入れることが出来ないドラマCDの存在や発売する前の
盛り上げは良かったもののその後が一切フォローされなかったことなど、
作り手の姿勢も少しモヤモヤすることがあってしまった。
ネガティブなことばかり言ってしまったが、入れ替わった状態を示すアイコンや
声優もきちんと複数の人間を演じるなど、入れ替わりという要素をいかにゲームに
落とし込むか工夫した点も多々ある。なによりこういう
入れ替わりをテーマに使ってゲームを作ろうという流れは大歓迎である。
さらなる“入れ替わり”を追求したゲームの出現を希望したい。
『パパとムスメの7日間』(著者:五十嵐貴久)
(→作品リストへ)
個人的には最高の組み合わせだと思う父と娘の入れ替わり。筆者の場合その設定だけで
充分いけるんで良かったのだが、作品を客観的に見れば展開が大人しくなってしまったかも。
いい話系の作品としてはご都合主義的な点は多々あれど中々にまとまりはいい佳作と
いったところ。入れ替わり作品は常々こういうタイトルや惹句で惹きつけれる要素というのが
あると思っていて(分かりやすい例えでいうと『おれがあいつであいつがおれで』みたいな)
その点で見ると一番目立っていた。ただ元に戻ることも想像出来てしまうタイトルでは
あるんだけど。
『へんしん!ポンポコ玉』DVD-BOX発売!
(→作品リストへ)
雑記とかにも書いたけど、実はこのDVDが出たことは相当に凄いこと。なにせこれ30年以上も
前のあまり人気が出ずに途中で打ち切られた作品だ。この作品のDVDを買おうという人間は
相当に酔狂なヤツというしかいないだろう(筆者を含めて)。どういういきさつかはわからないけど、
発売してくれたソフト会社の英断に感謝。
そして実際に作品を見たところ正直驚いた。入れ替わり作品は何百と見てきたつもり
だったけど、ドタバタをメインにした入れ替わり作品の中では今まで見たどの作品よりも
面白い。もうなんかものすごく衝撃を受けてしまってこの場では語りつくせないくらい。
また新たにページ作ってちゃんと語ろうと思う。
まとめ
上記したように入れ替わりの良さがまた見直されてきた流れが出てきてる
のではないかと思っています。といってもこの趣味ってマイノリティーであるが
故楽しめるという面もあるので、この流れからドッカンドッカン起きて
入れ替わりがブームになってほしいかっていうとそういうわけでもないんですが。
強いていうならいい意味で定番化してほしい、というところです。例えばSF的な物語で
タイムスリップが出てきたからって言って「H・G・ウェルズの『タイム・マシン』の
パクリだ!」とは誰も言わないわけですよね。それぐらい物語の1パターンとして
認識されてる。ところが“入れ替わり”というテーマは一般層にとっては未だに
『転校生』のパクリと言われたりするわけですよ。もっと当たり前の存在になってほしい。
一般層でも入れ替わりを扱った作品は?と聞かれて最低2・3作品は言ってくれるくらいに
なればなあといった感じです。
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