マルチプル・オーガズムは、ＰＣ筋という筋肉を締める事によって、射精を抑えて、オーガズムだけを体験します。これができるようになるためには、ＰＣ筋が、ある程度の筋力を持っていなければなりません。しかし、普通の生活をしている人のＰＣ筋は、とても射精を抑えるほどの力はありません。そこで、ＰＣ筋を鍛える必要があるのです。では、私流の、体験に基づいた鍛え方を書いてみましょう。

まず、ＰＣ筋を体で覚える
　そもそも、ＰＣ筋とは何かというところから書いていきましょう。このＰＣ筋の正式名称というのは、ちょっと舌を噛みそうな名前なのですが、ピューボコクシギウス（pubococcygeus）筋と呼ばれる筋肉です。実際にどんなことをする筋肉なのかというと、なんのことはない、オシッコを止めるときに使う筋肉なのです。なんだ、と思われるかもしれませんが、この筋肉を鍛えることで、オーガズムの快感を、浴びるように体験できるようになるのです。

　そこで、面倒な理屈はともかく、実際にＰＣ筋のある場所をさぐってみましょう。これは実に簡単なことなのですが、オシッコを止める筋肉なのですから、実際にオシッコを途中で止めてみればいいのです。このとき働いているのがＰＣ筋なのです。立ってオシッコをするよりは、便座式のトイレに腰掛けてオシッコをしたほうが、股間に余計な力入らない分、排尿を途中で止めやすいかもしれません。そして、実際に試してもらえば分かると思うのですが、オシッコを途中で止めると、ちょっと間を置いてから、尿道にジワーッとしみるような快感が広がると思います。この快感を楽しみながら、何回もオシッコを途中で止めてみてください。もし、うまく止めることができなくても、なんとかオシッコを止めようとして、オチンチンや玉袋の付け根あたりの筋肉が収縮しているのが分かると思います。さらに、指でこの辺の筋肉を触りながらオシッコを止めようとしてみると、どの筋肉が動いているか、よく分かると思います。これがＰＣ筋なのです。

　こうやって、まずは自分の体で、実際にＰＣ筋というものの存在を実感してみてください。そして、オシッコを止めようとするときに、ＰＣ筋が収縮して、オチンチンが少しばかりピクンと動く感覚をつかんでください。この感覚がつかめたら、後は同じようにオチンチンをピクピクさせて、ＰＣ筋を鍛えればいいのです。

　ただ注意しなければならないのは、余計な筋肉を使わないようにするということです。いくら力んでも、ほかの筋肉に力が入ってしまって、肝心のＰＣ筋に力が入らなければ、トレーニングの効率が悪くなってしまいます。ですから、オチンチンをピクピクさせるときにも、腹筋やお尻の筋肉に余計な力が入らないようにして、ＰＣ筋だけを収縮するコツをつかんでください。

いつでも、どこでも、オチンチンをピクピクさせる
　ＰＣ筋の鍛え方も、普通の筋肉の鍛え方も、まったく同じです。繰り返し筋肉を使うことで、少しずつ力が付いてきます。そして、普通の筋肉と同じように、急にやりすぎると筋肉痛を起こしてしまいますので、最初からとばさないようにしましょう。ではどれくらいの量のトレーニングが適切なのかというと、「セックス革命」という本では、下記のような基準を示しています。

「一日に三回、ＰＣ筋を二〇回、収縮させます。一回につき一、二秒、ぎゅっと力を込めてから力を抜いてください。それだけです。それを二〇回、一日に三度繰り返すのです」

　こんなふうに、回数を具体的に書いています。私も最初はどんなふうにやっていいのか分からなかったため、この本に書いてある通りに回数を数えて実行していました。しかし、やっているうちにだんだんといい加減になってきて、やがて、いつでもどこでも、気のついたときにオチンチンをピクピクさせたり、力を入れてギューッと締めたりしていました。 　日常生活の、いたるところでオチンチンをピクピクさせていると、ふだんの生活が今までと違ったものになってきます。車を運転しているときや、電車の中、食事のとき、仕事で女性と打ち合わせをしているとき、そういういろいろな場面で、射精をコントロールするトレーニングをしているのだと思うとと、ちょっと愉快な気持ちになります。

　あとは、筋力がついてくるのを待つだけです。あせらずに、マイペースで、毎日毎日トレーニングをしていきましょう。日々の訓練を着実に積み重ねていけば、やがてマルチプル・オーガズムの「初体験」をする日がやってくるのです。

【追記】
　マルチプル・オーガズムができるようになってからでも、仕事が忙しかったりして、長期間のブランクがあいてしまうと、いつの間にか筋力が衰えてしまいます。こんな状態で、久しぶりにマルチプル・オーガズムをやってみようとすると、射精をコントロールできなくて、「あれれれ」ということになってしまいます。しかし、大丈夫です。オチンチンをピクピクさせていれば、すぐに筋力が戻ってきて、再び快感にもだえることができるのです。
　つまり、マルチプル・オーガズムを体験するには、それだけＰＣ筋の筋力が重要なんだということです。