7月の大劇場月組観劇は15時開演。
今までは高崎線朝1番の夜行快速を使えば、
青春18切符と快速の指定券だけで間に合ったのだが、
ダイヤの変更で一部区間に新幹線の併用が必要となってしまった。
こうなると前日夜に出て東海道線の夜行快速を使うのが、
費用と時間を考えると最も有効な方法と言うことになる。
前日の乗車券は、途中下車がなければ普通の乗車券を使った方が得である。
日付の変る横浜駅まで買えば良いので幾分か安くなる。
小田原駅までは快速列車の指定券が必要となるので、
そこまでは普通列車を利用して先に行っておくのである。
青春18切符は予め買っておくことが多いのだが、
今回は暑くて駅まで行くのが面倒だったので、乗車時に購入するつもりでいた。
いつもは列車の遅れがあっても良いように早めに出て行くのだが、
家を出る時にちょっとしたトラブルがあって、1本遅い列車に乗ることとなった。
駅に行って当日分の乗車券と共に青春18切符を買おうとすると、
9時で緑の窓口が閉まってしまうので発券出来ないとのこと。
市の中央駅なら開いているはずの時間帯なのだが、
小さな駅を利用したので早めに閉めてしまったようである。
しかしこの段階ではまだ深刻に考えていなかった。
横浜か東京で買えば良いと思っていたのである。
ところが・・・緑の窓口は、11時にはどの駅でも閉まってしまうようなのである。
やばい!!
青春18切符が買えないとなると、夜行快速に乗ることはできない。
まともに普通乗車券を買ったのでは、大幅に予算を超過してしまう。
止むを得ない。明日の1番で行くしかない。そうすれば間に合う。
しかしここで新たな疑問が湧いてきた。
緑の窓口は何時に開くのだろうか?
駅員に尋ねると、殆どの駅は6時だが、東京駅は早いかもしれないと言う。
急いで東京駅に戻って駅員に確認すると、5時半からの発売だと言う。
1番列車は5時20分発だから、東京駅に待機していたのでは乗ることは出来ない。
横浜駅なら5時半発売でも間に合うので、電話で横浜駅の状況を確認してもらうと、
横浜駅での発売は6時からだと言う。
これでは横浜まで行っても、1番列車には間に合わない。
万事休す、か?
東京にいても仕方がないので、取り合えず京浜東北線に乗り込んで先へ進み、
車内で時刻表を睨んで最善の方法を探ることにする。
当初の予定は大幅に崩れてしまったが、被害を最小限に収めなければならない。
結構混んでいる電車の中で頭をフル回転させて最終的に出た結論は、
東京発の1番列車が6時過ぎに発車する駅まで行き、
そこで青春18切符を購入して乗り込むと言う方法だった。
東海道線の列車は既に無いので、
京浜東北線で横浜駅まで行って待機することにした。
現在の駅においては、最終電車が出ると翌朝の始発まで構内は閉鎖される。
駅のどちら側で待機しようか考えたが、やはり海側の方が涼しいのではないかと思い、
国道1号線を越えて周辺を散策してみた。
予想通り結構涼しい風も吹いてくるが、場所によっては全然風が来ない場所もある。
時間は午前1時前、始発までは4時間ほどある。
駅構内へのシャッターが閉まった頃に行ってみると、あちこちにごろ寝の人影が見える。
ずらりと並んでいる所は、やはり常連さんであろうか。
この日は金曜日なので、酔っ払って最終便に乗り遅れた人間も多いようである。
それにしても不思議なのは、ダンボールで囲って寝ている1群があることだ。
常連であることは間違いないのだが、ダンボールで囲ってしまったら風が来なくなり、
暑苦しいのではないかと余計な心配までしてしまった。
上にもダンボールを掛け、毛布に包まっている人もいたのだが、
寝苦しさよりプライバシーを守りたかったのかもしれない。
眠くも無いので自動販売機の明かりで本を読んだり、
海の方へ歩いて行ったりしながら時間をつぶしていく。
海まで行っても風はそれほど変らず、逆にヘドロの臭いが鼻を衝くようになる。
驚いたことには駅のこちら側にはコンビニが一軒も見られない。
コンビニがあると暴走族や深夜族の溜まり場となることが多いが、
そうした人間が全くいないことは幸いであった。
とは言っても1号線の側である。
大型トラックも高速で突っ走っているし、やはり暴走族まがいの車も走っている。
風通しの良い場所を見つけて横になってはみたが、
とてもうるさくて寝られるものではない。
夜なので排気ガスの状況は分からなかったが、やはり相当ひどいものだろうと想像できる。
経済優先のあおりを受け、沿線に住んでいる人はさぞかし大変なことだろうと思った。
うつらうつらで眠るところまでは行かなかったが、
蚊さえ来なければ夏のホームレスは楽である。
何年か前の3月上旬、宝塚観劇の帰りに夜行列車に逃げられてしまったことがある。
名古屋駅で1晩明かしたが、明け方は結構冷え込んだ・・・
ホームレスのおっさんと囲碁を打ち、優勢な碁を負けてあげたのに、
ダンボールの1枚も貸してくれなかった。
冷たいお方・・・
東京発の1番列車は大船駅発車が6時4分、順調に行けば間に合うが、
確実を期するために次の藤沢駅まで行っておくことにした。
横浜駅の始発は4時54分、これで藤沢まで行く予定なのだが、
ポイントの故障とかで30分ほどの遅れとなってしまった。
後続の列車も遅れるのか駅員に尋ねたが、
情報が入ってこないので分からないと言う。
再び行動の選択に迫られた。
予定通り藤沢で降りるのか、遅れを考慮してもっと先まで行っておくのか、である。
品川発の2番列車は、東京発の1番よりも早く来る。
平塚駅の発車が6時1分となっているが、遅れて来る可能性もある。
出費は若干増えることになるが、この場合には確実性を優先すべきであり、
平塚まで行くことにする。
6時少し前なので緑の窓口は開いていなかったが、
開店と同時に飛び込んで急いでホームに駆け戻る。
何とか目的の列車に間に合ったが、この列車も1〜2分遅れていたことと思われる。
この程度の遅れなら取り戻せるので、最良の結果となったようだ。
東京始発の列車よりも30分ほど早く宝塚に着けるので、
途中での遅れに気をもむことも無い。
「禍福は糾える縄の如し」と言うが、またもやそれが実現することとなる。
乗り込んだ列車は小田原止まり、そこで先行している列車に乗り換える。
乗り換え時間が短いのに、階段までが遠い車両に乗ってしまったのが悪運の始まりか。
それでも急いでエスカレーターを走って下り、ぎりぎりで列車に飛び込んだ。
間にあってほっとしたのも束の間、電車は反対側に走り始めたではないか!
少し走ったら、ホームの反対側に電車が見えた。
これが目的の下り電車だったのだが、
編成が短いためにエスカレーターでは見えなかったのだ。
うーん、こいつは参ったと思ったが、まだ手段は残されている。
当初の予定の東京始発を捕まえれば間にあうのだ。
しかしもう失敗は許されない。
気を取り直して2つめの国府津駅で降り、
東京始発に乗り換えて大劇場に向かったのである。
その後は事故も無く順調に進み、5分前には大劇場に到着、
無事に観劇することが出来た。
色々な出来事があったが、まずはメデタシメデタシと言ったところであろうか。