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 さくら/シークレット・ハンター(6月26日東京宝塚劇場)

 星組新トップコンビの東京お披露目公演だが、 ショー・芝居共に新鮮味に欠けていたと言わざるを得ない。
 日本物のショーで「さくら」を題材とするのは定番のようだが、 それだけにマンネリ化に陥り易い一面も持っていると言うことが出来よう。 確かに一つ一つ細かく見れば雛人形がねずみに襲われたり、 狂言から題材を取ったりと、過去には無かったであろう場面も見られる。 しかし全体として受ける印象が今までに観た日本物のショーと同じで、 いささか退屈気味で時間の経過が長く感じられるのである。
 日本物のオープニングで強く印象に残っているのは、 ショーではないが雪組の「雪之丞変化」である。 初めて観た宝塚の日本物だったのでより一層印象に残っているのかもしれないが、 蛇の目傘を操っての舞台はとても狭く感じられたものである。 現在の舞台は旧劇場に比べて実際の面積も広くなっているのかもしれないが、 この作品では人間の存在感が希薄であり、 やたらと空間が目立って華やかさに乏しい印象を受けた。 小道具も扇だけに頼ることなく、 色々と工夫してもらいたいものである。
 
 芝居の方は、さっぱり分からない、と言うのが正直な感想である。 全体を通しても一貫したストーリー性が感じられず、 個々の場面でも魅力ある見せ場と言うものが全く無かった。 なんだか知らないうちに終局となり、 実はこれこれこうだったのだと言う解説があったのだが、 それでも???と言う疑問符は消えなかった。 外国から来日しての公演で良く見受けられる、 イヤホンガイドで全篇を解説して欲しいような展開の芝居だった。
 最後のロケットの場面では今までに無い工夫が見られ、 それまでの退屈した舞台から開放されたこともあってとても良かった。 芝居からフィナーレに入る場合にはショーの場合とは異なり、 得てして大きな段差を生じる場合が多いものだが、 この作品では芝居が現代洋物と言うこともあってか、 非常にスムーズにフィナーレに入って行けたのも良い。 蛍光塗料を多用した衣装も場に合っており、新鮮さが感じられて良かった。
 ただしその後のフィナーレCは冗長に過ぎた。 折角ロケットでよい雰囲気を出していたのだから、 ピリッとしたままでトップコンビのデュエットダンスにつなげて欲しかった。 また、最近では最後のパレードで娘役によるエトワールがいない作品が増えているが、 この作品でもそうだがだらだらとしたまま幕が下りてしまうという印象を受ける。 歌える娘役がいないわけでは無いだろうし、 人を育てるためにもエトワールは有効なはずである。 新しい演出も必要だが、 良い伝統は継続して行って貰いたいものである。

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